研究課題/領域番号 |
16F16310
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奈良岡 聰智 京都大学, 法学研究科, 教授 (90378505)
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研究分担者 |
MURPHY MAHON 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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キーワード | 第一次世界大戦 / 捕虜 / 抑留 / 国際連盟 |
研究実績の概要 |
本研究は、第一次世界大戦期の各国の外交政策を規律した国際的規範がいかに変容したのかを、日本・東アジアというレンズを通して解明するものである。特に、第一次世界大戦中から戦後にかけての各国の捕虜・抑留者への待遇、パリ講和会議やワシントン会議への日本の対応、日本の政治指導者や知識人の人種意識などについて分析を行い、国内外で史料調査を行うとともに、その成果を図書、論文、学会報告などの形で公表した。具体的な成果は、以下の通りである。 1)奈良岡、マーフィーは、2017年1月に愛媛県松山市、徳島県鳴門市の俘虜収容所跡、2017年3月に中国山東省青島の日独戦争関係遺跡、2018年1月に台湾の中央研究院、国史館などで共同史料調査を行なった。マーフィーは、2017年8月には、英国の国立公文書館、スイスの国際連盟文書館で史料調査を行った。 2)マーフィーは、第一次世界大戦期のドイツ人捕虜待遇に関する研究書を出版した。奈良岡は、同大戦期の外交論に関する論文を公表した。 3)奈良岡は、イスラエルのヘブライ大学(2017年6月)、ヨーロッパ日本研究学会の大会(開催地:リスボン、2017年9月)、イギリスのケンブリッジ大学(2018年3月)などで報告を行った。マーフィーは、イギリスのオックスフォード大学(2017年9月)、ハンガリーの中央ヨーロッパ大学、アイルランドのユニバーシティ・カレッジ・ダブリン、イスラエルのハイファ大学・テルアビブ大学(2017年10月)、イギリスのケンブリッジ大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(2018年3月)で報告や講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2年目に想定していた研究書の出版を1年目に行うことができたこと、当初予定していた以上の学会報告や講演を実施できたことが理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、日本国内外で基本的な文献・史料を収集・分析し、本研究の全体を貫く分析枠組みを構築するとともに、個別の研究テーマについても分析を進める。 1)研究に必要な基本図書を購入するとともに、国立国会図書館や京都大学が所蔵する図書・新聞・雑誌の収集・複写を行う。また、外交文書などの公文書、政治家・外交官・軍人・ジャーナリストなどの個人文書をはじめとする一次史料を収集・分析する。そのために国立公文書館、国立国会図書館憲政資料室、外務省外交史料館、防衛省防衛研究所史料閲覧室、宮内庁宮内公文書館で調査を実施する。 2)昨年度の調査を踏まえ、愛媛県松山市、徳島県鳴門市の俘虜収容所跡での共同調査を再び実施する予定である。また、2018年度末までに、熊本県の俘虜収容所跡での共同調査を実施する他、近代日本における捕虜・抑留者の待遇に関する国際ワークショップを開催する計画を進めている。 3)海外での史料調査や成果公表も積極的に進める。奈良岡は、ハイデルベルク大学での講演、マーフィーは、早稲田大学での講演を予定している。また両名共に、ジュネーブの国際連盟文書館での調査を予定している。
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