研究課題/領域番号 |
16F16338
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野崎 京子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60222197)
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研究分担者 |
PHANOPOULOS ANDREAS 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-10-07 – 2019-03-31
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キーワード | ヒドロホルミル化 / アザトリホス |
研究実績の概要 |
アルケンのヒドロホルミル化反応は、単純な炭化水素に一炭素増炭をしながら官能基(アルデヒド基)を導入できる触媒反応で、大スケールで工業化されている数少ない均一系の触媒反応である。これまでに、ロジウムとホスフィン配位子を組み合わせた系が数多く開発されているが、そのほとんどは1-アルケンから末端のアルデヒドを得ることを目的としている。一方、分岐アルデヒドの選択性の向上についての研究は限られている。また、分岐選択性発現の理由に関しては不明な点も多く、統一的な理解が強く求められている。 本研究は、アザトリホス配位子に注目している。前年度までの研究で、アザトリホス配位子のロジウム錯体を触媒としてもちい、1-ヘキセンのヒドロホルミル化で分岐体を主生成物として得た(分岐/直鎖比率は2/1程度)。反応における選択性発現の機構を明らかにすべく、[N(CH2CH2PPh2)3]Rh(I)(acac)錯体を、この錯体を水素・一酸化炭素混合ガスで処理して得られる錯体の構造についての解析を進めた。得られた知見を以下にまとめる。 (1)アザトリホス配位子が2配位錯体と3配位錯体の平衡にある(2)2配位錯体が真の活性種である(3)分岐構造の発現には配位子中の窒素原子が必須である。 これらの新たな研究成果については論文にまとめ、29年度末に投稿を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、アザトリホスのロジウム錯体の反応条件下(水素・一酸化炭素混合雰囲気下)における挙動について明らかにし、論文作成に至った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、分岐体選択性の起源について調べる。まず、アザトリホス配位子[N(CH2CH2PPh2)3]のホスフィン部分のフェニル基上に種々の置換基を導入し、その電子的な効果を明らかにする。同時に、28年度に合成に成功した[N(CH2CH2PPh2)3]Rh(I)(acac)錯体の挙動についてさらに詳しく調べ、反応の全容を明らかにすることを試みる。
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