研究実績の概要 |
本研究課題では、硫黄原子を配位点として持つ共役系配位子を用いて、既報の物質群を超える高い電気伝導性を有する多孔性配位高分子(PCP)の開発を目的とし、特に金属と強固に結合する硫黄原子を配位点として用いることによって、隣接ユニット間の電子的カップリングを増大させ、より広いバンド幅を有する多孔性高分子の構築を目指した分子合成を進めてきた。現在までに 硫黄リンカーを有する新規半導体性リガンドの開発として、テトラチアフルバレンをコアとする四座配位子、トリアジンをコアとする三座配位子、トリフェニレンをコアとする六座配位子などの合成を終了した。これらをもとに、導電性PCPの合成を試み、半導体性リガンドと架橋金属をZn, Cu, Co, Cd, Mn, Ni, Zrを組み合わせた結果、3次元構造を有するPCPの作成が終了し、構造解析および多孔体としての機能評価を進めた。PCPの伝導電性評価においては、非接触電気伝導度評価法であるTime-Resolved Microwave Conductivity (TRMC)法を用い、光伝導特性の定量的評価を進めた結果、観測される過渡伝導度は架橋金属元素の種類に強く依存し、現在その3次元構造特性と伝導機能の相関について検討を進めている。 特に平滑基板上へのPCP構造の均一形成が一部可能な配位子構造を見出しており、これについては特に、TRMC@Interface法を用いて材料界面構造中における電荷輸送の定量評価を行うこととし、すでに素子形成に着手した。
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