研究課題/領域番号 |
16F16342
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
関 修平 京都大学, 工学研究科, 教授 (30273709)
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研究分担者 |
KUMAR PRASHANT 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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キーワード | PCP / MOF / TRMC / 過渡光伝導 / 電荷移動度 / TTF |
研究実績の概要 |
本研究課題では、硫黄原子を配位点として持つ共役系配位子を用いて、既報の物質群を超える高い電気伝導性を有する多孔性配位高分子(PCP)の開発を目的とし、特に金属と強固に結合する硫黄原子を配位点として用いることによって、隣接ユニット間の電子的カップリングを増大させ、より広いバンド幅を有する多孔性高分子の構築を目指した分子合成を進めてきた。本年度の研究過程において、テトラチアフルバレン(TTF)を中心骨格として有しカルボン酸部位を四個所持つ配位子とMnからなる多孔性配位高分子(PCP)の合成を行い、条件検討により十分な結晶性を有する試料を得た。得られたPCPの単結晶構造解析により、PCP中でTTF部位が連続した経路を持つことが明らかとなった。PCPの伝導電性評価においては、非接触電気伝導度評価法であるTime-Resolved Microwave Conductivity(TRMC)法を用い、光伝導特性の定量的評価を進めた結果、6 x 10^-5 cm2/Vsの最大過渡電気伝導度を与えることがわかった。また、TTF-Mn PCPの空孔にはヨウ素をゲスト分子として包摂可能であることを見出し、それによりTTF部位の酸化に影響を与えることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TTFを中心骨格とする配位子を固定し、様々な金属種と反応条件の検討を行うことにより、Mnを金属種とするTTF-Mn PCPが高い結晶性を有することを明らかにすることができた。単結晶構造解析により構造については詳細が明らかになっており、電気伝導性についても評価できた。これらの状況を鑑み、おおむね順調に研究は進捗していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、ヨウ素雰囲気下での非接触伝導性測定により、TTF-Mn PCP試料の酸化状態における伝導性の評価を深め、学術論文として投稿する予定である。 非接触伝導度と結晶構造の相関について、特に英国の研究グループ(Prof. George E. Kostakis、Department of Chemistry, School of Life Sciences, University of Sussex)との国際共同研究により、特にその精密構造解析を進め、2次元配位構造中での電荷移動度の完全実験定量と移動度向上のための構造の提案を行う。
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