研究課題/領域番号 |
16F16346
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
若宮 淳志 京都大学, 化学研究所, 准教授 (60362224)
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研究分担者 |
LEE JAEHYUN 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-10-07 – 2019-03-31
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キーワード | ペロブスカイト太陽電池 / 有機半導体材料 / 電荷移動度 / 光吸収 / 準平面構造 |
研究実績の概要 |
酸素架橋型トリアリールアミン骨格(準平面型骨格)をアズレンを核に用いて4つ導入したHND-Azuleneについて、準平面骨格に導入するアルキルチオ基の長さが固体物性およびペロブスカイト太陽電池特性に及ぼす効果について、詳細に検討した。まず、アルキルチオ基のアルキル鎖を、オクチル基、ヘキシル基、ブチル基、およびメチル基とした一連の誘導体をいずれもグラムスケールで合成した。 これらの光物性、電荷移動測定(SCLC法)を測定した。その結果、光物性および電子構造にはほとんど影響がない一方で、結晶性に違いが見えられ、メチル基のものがもっとも高い結晶性を示した。また、SCLC測定の結果、アルキル鎖長が短くなるにつれて、正孔移動度も大きくなることがわかった。これらをp型半導体層に用いたペロブスカイト太陽電池を作製し、最大で17%を超える光電変換効率を示すことを見出した。 また、独自のアンカー骨格を用いた準平面型p型半導体の合成にも着手し、大量合成にも成功した。今後、これらを用いたペロブスカイト太陽電池セルの作製法の開発に取り組み、さらなる高効率化を実現する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一番目の標的化合物について、一連の誘導体をいずれもグラムスケールで合成することに成功し、これらの基礎特性を評価した。実際にp型半導体層にもちいたペロブスカイト太陽電池を作製し、これらの構造特性の違いが光電変換効率に及ぼす効果を明らかにすることができた。また、第二番目の標的化合物の合成にも着手し、すでにグラムスケールでの合成検討に入っている。今後、これらを用いた太陽電池デバイスの特性評価に取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
標的化合物の合成については、合成ルートの改良、改善により、大量合成法が確立しつつある。引き続き、標的化合物の合成とその基礎特性評価を進める。また、今後は、ペロブスカイト層との界面での配向の制御法に焦点をあて、独自のアンカー骨格を用いた標的化合物の設計と合成に取り組む。そして、これらを用いたペロブスカイト太陽電池セルを作成し、その特性評価を進める。
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