研究課題/領域番号 |
16F16356
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
花方 信孝 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 技術開発・共用部門, 副部門長 (10302796)
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研究分担者 |
CHEN MIN-HUA 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノテクノロジー融合ステーション, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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キーワード | マイクロニードル / ワクチンアジュバント / CpG / 花粉症 |
研究実績の概要 |
花粉症は、花粉に特異的なIgG抗体とIgE抗体の産生バランスが崩れ、IgE抗体の産生が優勢になることによって引き起こされる。CpG DNAには、Th1経路を活性化してIgG2a抗体の産生を増加させる一方、Th2経路で産生されるIgE抗体の産生量を抑制する効果がある。本研究は、CpG DNAの経皮デリバリーのための溶解性マイクロニードルパッチを開発することを目的とする。 アレルゲン特異的IgG2a抗体の産生量を増強するためには、アレルゲンとCpG DNAを同じ抗原提示細胞に取り込ませる必要がある。これは、CpG DNAとアレルゲンの両方を同一粒子に担持させることによって解決することができると考えられる。そこで、当該年度はCpG DNAとアレルゲンの両方を担持する粒子材料の探索を行い、ゼラチンがマイクロニードル作製原料として適していることを見出した。加熱して溶解したゼラチンをマイクロニードルパッチのモールドに注ぎ、室温で乾燥させることにより、ブタの皮膚を貫通する強度をもつマイクロニードルを作製した。それぞれのマイクロニードルの長さは350μmであり、ブタの皮膚に刺して1時間後にはマイクロニードルは溶解した。次に、ゼラチンマイクロニードルにCpG ODNを内包し、培地中で溶解させることによりCpG ODNを溶出させ、この培地を使ってマウスマクロファージRAW264.7細胞におけるCpG ODNのIL-12誘導能を調べた。その結果、ゼラチンマイクロニードルから溶出したCpG ODNにおいても高いIL-12誘導が認められた。これらの結果は、ゼラチンを基材としたマイクロニードルパッチは経皮デリバリーに適用可能であることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標通り、マイクロニードルパッチの基材探索が終了し、溶解性およびCpG ODNの溶出に関するデータを取得することができた。これらの結果は国際シンポジウムで発表し、10th International Symposium of Nanomedicineにおいて特別研究賞を受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得た結果をもとに、ゼラチンマイクロニードルパッチにモデルアレルゲンであるOVAとCpG ODNを内包し、マウスの背部から経皮デリバリーを行い、in vivoにおけるOVA特異的IgG2aの誘導を調べる予定である。
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