研究実績の概要 |
ナノ電子素子の伝導基盤である原子膜とナノ構造物質からなる結晶とのヘテロ界面を構築し、デザインされたナノ界面での光応答機能を有する薄膜素子の実現を試みる。従来素子での光感受性が極めて弱い波長領域(緑領域)に対して、受光感度が高まる独自構成のヘテロ界面の実現を目指す。 この研究では、n型材料であるフラーレン結晶と両極性原子膜を組み合わせることで、バンドギャップを電界でチューニングできる素子を造れる可能性を追求し、原子膜の両極性の有効利用とヘテロ材料界面のポテンシャル障壁高の調整で、現状の不感領域だけでなく広い領域を1素子で検知できる構造にまで発展させることを目標とし,ナノ材料と素子構造作製の基礎を研究した。 これまでに、高純度フラーレンC60,C70、金属内包フラーレンを使って、フラーレン結晶形成の高品質素子化を追求した。C70とCoポリフェリン分子を混合し、それぞれが互い違いに自己組織的に組み上がる現象を見出した。この自己組織化結晶は、ワイヤー状の単結晶(長さ10ミクロン、幅数10nm)を形成する。この有機分子とフラーレンのハイブリッド結晶の構造と特性を評価した。ワイヤー状結晶を熱アニールして、1本を取り出し、電極を形成して導電性を評価した。基本的に半導体的な導電特性を示す。この半導体特性は、熱アニールの処理温度を高めると、特性が低下する傾向にあるが、1000Cでのアニールを行った結晶でも、半導体としての特性を保持する強固な結晶性を有していることがわかった。
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