研究課題/領域番号 |
16F16361
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
朴 龍洙 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (90238246)
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研究分担者 |
LEE JAEWOOK 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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キーワード | グラフェン / カーボンナノチューブ / ウイルス / バイオセンサー / 磁気ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
電気抵抗に基づいたウイルス検出系の作製するため、下記のように研究を進めた。 1)金ナノ粒子/磁気ナノ粒子―グラフェン(Au/MNP-GRP)の合成:磁気ナノ粒子(MNP)は鉄イオンを用いた共沈降法で合成した。HAuCl4・3H2O溶液とGRPからAu3+-MNPを合成し、上記で合成したMNPを混合してAu/MNP-GRPを得た。得られたAu/MNP-GRPは、光学的性質やナノ粒子の形状を測定したところ、ナノ材料の特性を有した。 2)目標とするウイルスに特異的に結合する抗体(本研究では、ノロウイルスの抗体)をcysteamineによるEDC/NHSカップリング反応で機能性Au/MNP-GRPの表面にコンジュゲートした。 3)機能性Au/MNP-GRP白金電極に堆積し、電気信号をポテンシオスタットでモニタリングするシステムを構築し、ターゲットウイルスやタンパク質がこの検出用チャンネルに結合すると、電気抵抗の変化が生じた。この検出系の性能を多方面から検討し、検出系として条件の最適化を行った。 4)本検出系によるウイルスの検出を検証するため、ノロウイルス様粒子の検出を行ったところ、検出感度1.16 pg/mlと高感度検出に成功した。また、本検出系をインフルエンザウイルスとノロウイルスのDNA検出に応用しところ、それぞれ検出感度8.4 pMと8.8 pMであった。本研究成果を専門国際誌に2編、総説として1編発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定した検出系の構築を終了し、ウイルスやDNAの検出を行い、本検出系の性能を検証した。例えば、光学的性質や磁性等の特性を有する金ナノ粒子/磁気ナノ粒子―グラフェン(Au/MNP-GRP)の合成に成功しており、白金電極の表面に均一にナノ材料を配置することができた。これが、電気抵抗の変化の安定性に貢献していると考えられる。昨年まで構築した抗体とナノ材料との結合様式もAu/MNP-GRPに適用できたことが高検出感度に繋がった。この成果は、高インパクトファクターの専門誌に2報発表済であり、計画以上に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度完成した電気抵抗に基づいたウイルス検出系を複数のウイルス、或いは複数のウイルス型の検出に対処できる多重チャンネル型検出系を作製する。インフルエンザウイルスの場合、A、B、Cの3型が存在し、A型ウイルスにはさらに、ウイルス粒子の表面にあるヘマグルチニン(HA、16種類)とノイラミニダーゼ(NA、9種類)よる亜型が存在する。多重チャンネル型検出系をインフルエンザウイルスの亜型を見分ける方法として採用する。亜型の抗体と死活化したウイルスを購入して、本多重チャンネル型検出系の性能を確認し、その汎用性を証明する。本研究の成果をインフルエンザウイルス以外のデングウイルスやノロウイルスにも応用し、国内外に研究成果を配信する。研究成果をまとめ、高いインパクトファクターの国際学術雑誌に投稿する。
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