研究課題/領域番号 |
16F16366
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北村 隆行 京都大学, 工学研究科, 教授 (20169882)
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研究分担者 |
GALLO PASQUALE 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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キーワード | マイクロ / ナノ / 破壊力学 / 負荷実験 / 破壊基準 |
研究実績の概要 |
微小材料の破壊に関する文献調査を行い、ナノ破壊力学の基礎に関する知識を習得した。続いて、マイクロおよびナノメートルスケール材料に対する一方向試験方法について検討を行い、試験片形状および負荷方法を決定した。試験片は、片持ち梁形状あるいは二重片持ち梁形状を有しており、ダイヤモンド製のくさび型圧子を用いた押し込みにより所望の力学負荷実験を実現することができる。対象材料はぜい性材料であるシリコン(Si)とした。微小寸法の試験片加工には集束イオンビーム加工装置を用い、試験片への負荷は、微小負荷試験機構を有するホルダを透過型電子顕微鏡内に挿入してその場観察を行いながら実施することとした。このため、当該加工装置および負荷装置の操作の習熟を行い、その諸条件を決定した。試験片には、応力集中場として、ナノスケールの予き裂や切り欠きを導入し、均質材料(Si)および異材接合材料(Si/銅(Cu)/窒化ケイ素(SiN))に関して破壊過程のその場観察実験を実施した。実験では、特定の荷重に達すると、応力集中場からき裂が不安定的に伝ぱする様子が観察され、き裂伝ぱ開始時の荷重および変位を取得することに成功した。得られた結果に基づいて、局所損傷領域の力学場を求めるために有限要素法解析を実施し、ひずみや応力に関連した破壊力学量について検討を行った。マクロ材における破壊力学量との比較を行い、微小材料の破壊力学に関する考察を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度の計画は、1.“ナノ・マイクロ材料に対する負荷試験手法の決定”、2.“加工装置・試験装置の操作に関する習熟”および3.“破壊力学量に関する検討”である。申請時の予定に沿って、試験手法を決定した。本試験手法は、微小な材料に対して、目的とする力学状態での負荷を行うことができる。さらに、加工に用いる集束イオンビーム加工装置の操作を習熟し、微小試験片の作製に適した加工条件を決定した。また、電子顕微鏡内で負荷実験を行う微小負荷試験装置の操作についても習熟した。実際に実験を実施し、得られた破壊時の条件を元に力学解析を用いて破壊力学量に関する検討を行った。研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、マイクロ・ナノスケールの試験片を作製し、電子顕微鏡内で負荷実験を実施する。とくに、試験片の寸法や切り欠きの形状が異なる試験片を複数本作製し、境界条件の異なる実験と解析を実施することで、破壊力学量の有効性・普遍性について検討を行う。さらに、臨界距離理論(Theory of Critical Distances)に基づく検討も行い、その有効性について考察を実施する。また、疲労現象を観察するための繰り返し試験手法に関しても検討を行う。
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