研究課題/領域番号 |
16F16372
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
岡田 裕之 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (80233344)
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研究分担者 |
HOSSAIN MD. FARUK 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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キーワード | ペロブスカイト太陽電池 / 酸化物半導体 / ナノ構造 / 構造解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、酸化物半導体と有機無機ペロブスカイト系太陽電池を融合したデバイスを目指し、フレキシブル基板上に形成する研究となる。平成28年度の4ヶ月間での酸化物TiO2形成の基本技術、そして有機無機ペロブスカイト系太陽電池の基本的試作を受けて、(1) 酸化物ITO上へのシーズ無し状態でのZnOナノロッド成膜温度条件によるFE-SEM観察、XRD構造解析、光学特性とフォトルミネセンス特性の評価、(2) シーズ無し状態のZnO上へのペロブスカイト膜形成と膜成分解析、フォトルミネセンス評価、そして基本太陽電池特性評価、(3) フレキシブル基板上でのZnOナノロッド形成、(4) TiO2膜厚の最適化、X線光電子分光評価とペロブスカイト太陽電池への適用、を研究した。今年度の成果として、"Perovskite Solar Cells with E-beam EvaporatedTiO2 Photoelectrode"、"Effect of Substrate Temperature on Structural, Optical and Surface Morphological properties of E-beam Evaporated TiO2 Photoelectrode"、"Nanostructured ZnO Photoelectrode grown on Seedless Flexible Substrate"、"Nanostructured ZnO Photoelectrode grown on Seedless Flexible Substrate"の応用物理学会学術講演会での講演4件と、AM-FPD2017での発表"Investigation of Photovoltaic Performance of Perovskite Solar Cells with α-NPD and Electron-beam Evaporated TiO2 Photoelectrode"とIEEE Nanotechnology Materials and Devices Conference国際会議での発表"Fabrication of ZnO Nanostructured Electrode on Seedless Substrate"の2件を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況を以下に示す。 (1) 酸化物ITO上へのシーズ無し状態でのZnOナノロッド成膜温度条件によるFE-SEM観察、XRD構造解析、光学特性とフォトルミネセンス特性の評価では、Zn(NO3)2・6H2OとHMTA混合液中で温度55~105℃でのナノロッド成膜実験を行い、95℃以上でナノロッドの成膜に成功した。直接遷移での発光ギャップは3.78eV以下と狭くなった。(2) シーズ無し状態のZnO上へのペロブスカイト膜形成と膜成分解析、フォトルミネセンス評価、そして基本太陽電池特性評価を行った。FE-SEM観察では、ナノロッド上へのペロブスカイト成膜で、比較的被覆状態の良い膜の成膜が出来、膜の光吸収も大きかった。しかしながら効率は1.05%に留まり、今後、ロッド長の制御や位置制御されたZnO成膜などの課題が残る、(3) フレキシブル基板上でのZnOナノロッド形成を試み、PET基板上のITO上へ75℃以上の成膜温度でナノロッドの成膜が出来た。今後、ペロブスカイト太陽電池の評価を実施してゆく、(4) TiO2膜厚の最適化、X線光電子分光評価とペロブスカイト太陽電池への適用を行った。Ti 2p1/2と2p 3/2(456.4 と462.3 eV)、そして三つのO 1sのスペクトル、特に、530 eV のO 1sから構造推定を行った。また、TiO2膜厚を30~300nmと変えたペロブスカイト太陽電池で、90nmのTiO2の適用で効率6.8%を得た。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、(1) 電子ビーム蒸着した平坦TiO2膜の成膜条件と膜厚最適化とペロブスカイト太陽電池への適用、(2) シード無しZnOナノロッドの溶液成膜条件の検討、フレキシブル基板上での成長と本ナノロッドを持つペロブスカイト太陽電池の試作、を行ってきた。そのなか、電子輸送酸化物半導体の成膜条件の最適化による抵抗低減、コンパクトTiO2膜成膜によるデバイス短絡の防止、位置制御されたナノロッド成膜とロッド長の制御など、様々な課題が見えてきた。また、ペロブスカイト膜成膜と高純度材料の適用も課題となる。現在、投稿中の2篇の論文に加え、継続した成果を対外的に報告できるよう、1件の成果を国際会議へ投稿中となる。より一層のデバイス特性向上とフレキシブル基板上でのデバイス実現を目指し、残る期間での研究を加速化してゆく。
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備考 |
平成29年度、ホサイン先生の所属するバングラデシュ人民共和国ラジシャヒ工科大学と部局間学術交流協定を結んだ。(平成30年2月28日締結)これに伴い、ラジシャヒ工科大学博士学生1名を特別研究学生として、平成30年3月26日より受入中となる。
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