研究実績の概要 |
平成30年では、最終的にフレキシブル基板の耐熱温度となる150℃以下で作製可能な、ナノロッドを持つペロブスカイト太陽電池の実現を目指した。詳細には、結晶核の無い基板を用い、ZnOナノロッドの試作条件の検討と、それを持つペロブスカイト太陽電池の試作を行った。温度範囲は、プラスチック基板上への形成を想定して、55~105℃の範囲とした。綺麗なロッド形成は75℃以上の温度で確認され、85℃では直径500nmのナノロッドが形成出来た。温度上昇に伴ってナノロッド径が増加し、95℃以上では中空化した。高解像度透過型電子顕微鏡による電子線回折パターンから、配向は、(100)、(002)、(101)、(102)、(110)、そして(103)面を持つ六方ウルツ鉱ZnO構造と分かった。太陽電池特性についても比較を行い、85℃で低直列抵抗、高短絡抵抗、高収集効率の特性から変換効率が最大化することが分かった。本結果については、J. Mater. Sci. Mater. in Electronics, 29, 13864-13871 (2018).で論文報告した。 二年間の滞在期間内での発表としては、2017年春季応物(2件)、AM-FPD2017、2017年秋季応物(2件)、IEEE Nanotech.Mater. and Device Conf.、2018年春季応物(2件)、AM-FPD2018、SSDM2018、そして2018年秋季応物で、国際会議発表2件、国内会議7件となる。論文発表は2篇となる。同太陽電池はフォトダイオードとしても有効に動作できることを確認し、その結果についてはAM-FPD2019へ投稿中となり、今後も継続した研究を行ってゆく。
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