研究実績の概要 |
本研究では、共有結合性有機構造体(Covalent-Organic Framework, COF)を鋳型・前駆体として用いて炭素化処理を行うことにより、細孔構造を精密制御したポーラス炭素材料を合成し、キャパシタ等における貯蔵と輸送の能力の大幅な向上を目的とする。溶媒熱反応を利用して、共有結合性有機構造体(COF)を合成し、シリカ前駆体((3-aminopropyl)triethoxysilane (APTES))をCOFの細孔に導入した。水蒸気などの雰囲気下でシリカ前駆体を加水分解させ、COF@SiO2複合体を合成した。合成されたポーラス共有結合性有機構造体COFやそのシリカとの複合体をアルゴン雰囲気下で、高温処理し、炭素化させ、生成物をHFで洗浄した。炭化処理の温度などの条件により、異なる細孔構造を有するポーラス炭素材料(CA-T,Tは焼成温度)を合成した。700-1000℃の温度では、共有結合性有機構造体COFとシリカとの複合体の炭化処理によって得られた炭素材料は高い比表面積を示した。合成されたポーラス炭素を電気二重層キャパシタの電極材料として用いて、硫酸水溶液において充放電特性評価を行った。共有結合性有機構造体・シリカ複合体前駆体の合成条件や、炭化処理条件などが、生成されるポーラス炭素材料の構造及び電気二重層キャパシタの電極材料としての特性に与える影響について詳細に検討した。これらの材料の中で、800℃での焼成で得られたCA-800炭素材料は電気二重層キャパシタの電極材料として最も高い性能を示すことを見出した。
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