研究課題/領域番号 |
16F16387
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
田中 元雅 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (40321781)
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研究分担者 |
PARR CALLUM 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-11-07 – 2018-03-31
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キーワード | 樹状突起 / スパイン / 翻訳 |
研究実績の概要 |
本研究では記憶や学習、精神状態に関わる神経機能である神経可塑性に重要な働きを示すことが知られている樹状突起における局所翻訳の実態解明を目指す。また、樹状突起における局所翻訳の異常は、自閉症などの様々な精神神経変性疾患にも深く関わることから、その分子レベルでの解明は重要な研究課題である。しかし、これまでに樹状突起における局所翻訳を調べる手法は限られているため、その詳細はいまだ不明な点が多い。本研究では、神経細胞内で、様々なかつ特別な性質を有するRNAの局在を人工的に自在に操るための新規な技術開発を行い、その特定のRNAがリボソームによってどのように翻訳されるかを明らかにすることを目指す。そのために、H28年度はまず、神経細胞の樹状突起に存在するRNAを精度よく回収し、様々な遺伝子工学的手法を用いて網羅的に塩基配列解析を行うための手法を確立させた。さらには、特定の性質をもつRNAを生化学的手法などで濃縮させ、その試料に対して網羅的な配列解析を行うためのライブラリーの構築を行う系の確立を目指した実験を行った。また、特定の性質をもつRNAに結合するタンパク質を質量解析によって定量的に詳しく調べるための技術開発の予備的検討を行った。これらの実験結果は、今後、神経細胞の樹状突起に存在する各種RNAの性質を解析し、またそれが翻訳に使われる際の形式を詳しく調べるために必要な技術開発に重要な知見を与えると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、特異的なRNAの性質を調べ、網羅的な翻訳解析を行うために必要とされる予備的な実験が順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
異なる細胞部位に存在する各種RNAの質的かつ量的変化を網羅的に、または特定のRNAに対して明らかにするための技術、および特異な性質をもつRNAの局在を人工的に制御するための技術の開発にさらに注力する。
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