研究課題
ナノ粒子型DDSは、腫瘍血管の透過性の亢進と未発達なリンパ系の構築に基づくEnhanced Permeability and Retention (EPR)効果によって、固形がんに選択的かつ効率的に集積することが担がんマウスによる動物実験により広く実証されている。しかしながら、最近の報告により、ナノ粒子型DDSのがん集積性は、マウス個体により異なり、腫瘍内分布も不均一であることが示唆されている。従って、固形がんの根治のためには、がん組織をイメージングにより的確に診断し、治療を行うことができるナノ粒子型DDSの開発が極めて重要であり、本研究ではこれらの機能を具備したセラノスティック型ナノDDSの開発を行っている。本年度は、ミトコンドリア阻害剤および光増感剤を内包した高分子ミセルを開発し、粒径分布、薬剤のリリース、培養細胞を用いた薬理活性の評価を行った。ミトコンドリア阻害剤内包ミセルに関しては低pH環境に応答した薬剤リリースが確認され、ミセル化による殺細胞効果の増強が認められた。光増感剤内包ミセルに関してもミセル化後も光線力学治療による殺細胞効果を示すことが確認された。
2: おおむね順調に進展している
当初計画に従って、がんの診断・治療のための薬剤内包高分子ミセルを構築し、培養がん細胞に対する有効性を確認することができた。
薬剤内包高分子ミセルのin vivo機能評価を実施し、がんの診断・治療(セラノスティック)における有用性を明らかにする一方で、高分子ミセルの細胞による取り込みを増強するための新たなポリマー開発に着手する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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