研究課題
本研究では、がんの根治を目指し、がん組織をイメージングにより的確に診断し、治療を行うことができるナノ粒子型DDSの開発を行っている。本年度は、ナノ粒子型DDSのシェル構築法に関する研究を進めた。具体的には、ポリエチレングリコール(PEG)に加えて、当研究室において独自に開発した腫瘍内pHに応答して電荷的中性からカチオン性に変化する双性イオン型ポリマーおよびpH非応答性の双性イオン型ポリマーを金コロイド表面に導入し、シェルのポリマー密度が同程度のナノ粒子を構築した。このポリマー修飾金コロイドをマウスに投与したところ、PEG修飾金コロイドは肝臓、脾臓へと集積し、速やかに血中から消失したが、双性イオン型ポリマー修飾金コロイドはpH応答性の有無に拘わらず、肝臓、脾臓への集積を示さず、極めて優れた血中滞留性を示した。以上のように、がんイメージングのためのナノ粒子のシェルの最適化を行うことができた。
3: やや遅れている
当初計画に従って、がんの診断・治療のためのナノ粒子の開発を進めることができた。ナノ粒子の診断・治療への展開に関しては、当初計画よりも遅れているが、高性能の新規シェルの開発に成功しており、今後は効率的に進めることができるものと考えている。
双性イオン型ポリマーを修飾した金コロイドの固形がんへの集積を評価する。がん組織はWarburg効果によって低pH環境となっていることが知られており、pH応答性ポリマー修飾金コロイドは高いがん集積性およびがん選択性を示すことが期待される。今後の計画としては、固形がん集積性を明らかにした上で、がんの診断・治療(セラノスティック)へと展開する予定である。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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