研究課題
本研究では、がん組織をイメージングにより的確に診断し、治療を行うことができるナノ粒子型DDSの開発を目指して、診断分子と治療分子を搭載した新規高分子ミセルの開発を目指している。平成30年度においては、金(Au)-チオール相互作用を利用して、PEG、pH応答性ベタインポリマーおよび非pH応答性ベタインポリマー(コントロール)を高密度で金ナノ粒子の表面に導入する方法を確立した。ポリマー修飾金ナノ粒子は、TEMおよびDLSによって評価し、ポリマー導入量を熱重量分析(TGA)によって評価した。その結果、ポリマー導入量が同等の金ナノ粒子を構築することができた。これらのポリマー修飾金ナノ粒子をマウス大腸がんC-26細胞の皮下移植モデルマウスに投与し、その体内動態をAuのICP-MS測定によって評価した。その結果、ベタインポリマー修飾金ナノ粒子は、PEG修飾体と比較して、肝臓および脾臓への低い集積性を示し、pH応答性ベタインポリマー修飾金ナノ粒子は、非pH応答性ベタインポリマーおよびPEG修飾金ナノ粒子よりも顕著に高いがん集積性を示すことが確認された。以上のように、本研究では、当研究室で開発された血中pHから腫瘍内pHに変化することによって電荷的中性からカチオン性に変化する新規pH応答性ベタインポリマーを金ナノ粒子の表面修飾に応用し、固形がんターゲティングにおける有用性を明らかにすることができた。pH応答性ベタインポリマーの利用によって、これまでのPEG修飾ナノDDSよりも優れたがん集積性が実現できることを示唆しており、DDS分野における画期的な技術として期待される。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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