外国人特別研究員のデルフィーヌさんは、結び目と3次元多様体の不変量について研究している。デルフィーヌさんは、有理ホモロジー球面の中の null homologous な結び目の不変量を、曲面の3重交叉を用いて、定義した。デルフィーヌさんは、組みひも群のある種の作用の有限軌道について研究した。デルフィーヌさんは、LP手術に関する結び目の有限型不変量について、結び目のコンセビッチ不変量のループ展開と関連して、研究した。デルフィーヌさんは、2次元結び目のアレクサンダー多項式の分解について研究し、その多項式が分解するための2次元結び目の位相幾何学的条件を与えた。デルフィーヌさんは、4次元多様体の trisection 図式を用いて4次元多様体の torsion を記述した。 とくに、有理ホモロジー球面の中の null homologous な結び目の不変量を曲面の3重交叉を用いて表す研究で、デルフィーヌさんは、結び目補空間の無限巡回被覆空間を考え、結び目を境界とする曲面のリフトを3つ、その空間の中で考え、それらの3重交叉として、その不変量を定義した。この不変量は、結び目のアレクサンダー加群の3重テンソル積上の写像として定義される。また、ボロミアン手術に関するこの不変量の挙動は具体的に計算することができて、それによりこの不変量はある種の有限型不変量であることがわかり、この不変量が具体的にとる値を計算することができる。 デルフィーヌさんは、それらの研究成果について、国内外で非常に活発に講演している。また、デルフィーヌさんは数理解析研究所の特定助教の清水達郎さんと共同でKyoto Young Topologists Seminarを主催して、公開セミナーを毎週行っていた。デルフィーヌさんの研究は、デルフィーヌさんにとっても筆者にとっても日本の他の専門家にとっても非常に有意義であった。
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