研究課題/領域番号 |
16F16741
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉本 茂樹 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (80362408)
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研究分担者 |
FERNANDEZ-MELGAREJO JOSE 京都大学, 基礎物理学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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キーワード | 超重力理論 / 超対称性 / Dブレイン / T双対性 |
研究実績の概要 |
研究代表者(杉本)と研究分担者(Fernandez-Melgarejo)が大学院生の Choi 氏と共同で行った研究は以下の2つである。まず、4次元の N=4 超対称ヤン・ミルズ理論に次元3以下のオペレータを加える変形を加えた理論において、結合定数を含む理論のあらゆるパラメータが時空の座標に依存する状況で超対称性の一部が保たれるための条件を求め、その条件を満たす広いクラスの解を見つけた。この解は Gaiotto-Witten の超対称 Janus 理論を特殊解として含み、その一般化となっている。この成果は論文としてまとめられPTEP誌に掲載された。それから、超重力理論の一般的な背景においてD3ブレインを配置することで得られるD3ブレイン上の有効作用を求め、上の研究で求めた作用における理論のパラメータと超重力理論の場の間の対応を与えた。また、具体例としてこのD3ブレインに交差するDブレインに対応する超重力理論の解を背景として持つ場合をいくつか解析し、有効作用が上の研究で得た解の一部を再現することを示した。この研究は論文としてまとめられ、JHEP誌に掲載された。 研究分担者はさらに他の共同研究者と次の2つの研究を行った。一つ目の研究ではタイプIIB超弦理論でヤン・バクスター変形された背景におけるT双対のモノドロミー行列を求め、Tフォルドとしての大域的な構造を明らかにし、さらにヤン・バクスター変形としては表されないようなある一般化された超重力理論の解についてもTフォルドとみなせることを示した。もう一つは、5次元超重力理論において、非可換なモノドロミーを持つ2つのスーパーチューブに対応した超対称な解を構成し、これがブラックホールの微視的状態として解釈されることを議論した。どちらも既にJHEP誌に論文が掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに本研究課題に沿ったいろいろなテーマで研究を行い、今年度は4つの論文を出版するなど、着実に成果を上げることができている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究によって超重力理論の一般の背景にブレインを配置して得られる有効理論を書き下すことができた。このとき、背景は超重力理論の運動方程式を満たすことが暗に仮定されているが、運動方程式が有効作用に含まれるパラメータにどのような制限を与えるのかは明らかになっていなかった。また背景が超対称性を保つ条件を課すとパラメータはさらに制限されるはずである。そのようなパラメータに対する制限を具体的に求め、それが対応する場の理論における解析において得られたものとどのような関係にあるのかを調べたい。また、場の理論の解析で得られる解の中には超重力理論の解と対応しないものも存在する可能性がある。その場合は一般化された超重力理論の解になっているのか、あるいはそれとも違う方程式に従うのか等のことを明らかにしたい。
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