研究課題/領域番号 |
16F16749
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
CRUDDEN Cathleen 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 客員教授 (10721029)
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研究分担者 |
YIM JACKY 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-10-07 – 2018-03-31
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キーワード | 光触媒 / 炭素-スルホニル結合活性化 / スルホン / クロスカップリング反応 / 光反応 / イリジウム触媒 / ルテニウム触媒 |
研究実績の概要 |
α位炭素-水素結合の化学変換を促進するスルホニル基は古くから有機合成に用いられてきた官能基の1つである。しかしながらスルホニル基は化学的に不活性であり、最終段階で還元的に除去する合成アプローチがとられてきたのが現状である。そのため炭素-スルホニル結合活性化、続く分子変換を選択的にかつ簡便に誘起することができれば、複雑な有機分子群に対する新たな合成手法を提示することにつながるためこれを達成する意義は大きい。これまでに当研究グループでは炭素-スルホニル結合活性化を可能にする新触媒を見出してきた。本研究ではこれまでのアプローチとは全く異なる光を駆動力とする炭素-スルホニル結合活性化を活用した新規触媒反応システムの構築を目的とする。本年度は炭素-スルホニル結合活性化に有効な均一系光触媒およびスルホニル上の置換基の開発を行った。Hantzschエステルを用いたメチルスルホン誘導体の光還元反応をモデル反応とし、様々な均一系光触媒を用いて検討を行った。その結果、還元力が強いことで知られているルテニウムやイリジウム錯体で炭素-スルホニル結合活性化が進行し、スルホンの還元体や二量化体が得られることが明らかとなった。青色光だけなく白色光でも反応は進行し、光を照射しないまたは光触媒を加えない条件では全く生成物が得られないことから、光触媒が炭素-スルホニル結合を活性化していることを実証することができた。またスルホニル上の置換基も反応性に大きく影響することを見出し、次のステップであるクロスカップリング反応の応用に向けた重要な知見を得たと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目に計画していた光触媒による炭素-スルホニル結合活性化が起きることを実証できたが、クロスカップリング触媒と組み合わせた新規触媒反応を実施するまでには至らなかった。2年目も継続して検討する必要があると考えており、達成度は(3)とした。
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今後の研究の推進方策 |
炭素-スルホニル結合活性化に有効であった光触媒を用いてクロスカップリング触媒と組み合わせた触媒反応を実施する。有機ホウ素化合物との反応をモデル反応とし、光触媒反応が共存できることが実証されているニッケル触媒をはじめ様々な金属触媒をスクリーニングし、結合形成反応が可能であることを実証する。さらに炭素-ヘテロ結合形成反応やアルキルカップリングなどを検討し、最短工程での多置換アリールメタン類の自在構築を目指す。
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