大型ヘリカル装置(LHD)における重水素実験を舞台として、電子サイクロトロン波動によって加熱された重水素プラズマと軽水素プラズマの閉じ込め性能の比較研究を行った。その結果、重水素プラズマにおいて、エネルギー閉じ込め時間が系統的に軽水素プラズマよりも長くなることを見出し、水素同位体効果の存在が示唆されることを明らかとした。日本学術振興会外国人特別研究員としての本人の採用期間(平成29年9月9日まで)の間、LHD実験や解析、核融合科学研究所内の共同研究者等との議論に集中する状況であったため、交付決定された経費の執行は行われなかった。 外国人特別研究員としての採用期間終了後の一か月程度、本邦滞在を継続(日本学術振興会への必要な手続き承認後)し、ドイツでの所属機関であるマックスプランクプラズマ物理研究所による経費負担で第21回国際ステラレータ‐ヘリオトロンワークショップ(京都大学にて開催)に参加し、上記の成果についてポスター発表を行った。その内容については、Nuclear Fusion誌への論文投稿原稿が完成し、現在、共著者間での最終確認が行われている。 ドイツへの帰国(平成29年10月)以降は、所属機関の超伝導ヘリカル装置ヴェンデルシュタイン7-Xにおける関連実験の提案、実験実施、その後、LHD実験データとの比較などを進めている。高温度ヘリカルプラズマでの研究を通じて、将来のヘリカル核融合炉での熱輸送特性に高精度で外挿しうる熱輸送モデルの構築に取り組んでいる状況である。
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