林(研究代表)が主宰者の一人である「草原考古研究会」が中心となって、不定期刊行物『アジア遊学』(勉誠出版)に「素減考古学」特集号を発刊することになり、林は「草原考古学とは何か―その現状と課題―」を巻頭論文として執筆した(17255字)。その中で本科研の研究テーマである中世初期のシルクロードにも多くのページを割いた。またシモニェーフスキ(分担者)は同じ号に本科研の研究テーマに完全に合致する「ビザンツの貨幣、シルクロードを通ってさらにその先へ―四~九世紀―」を英文で提出し、林が和訳した(和文で9482字)。どちらも本科研費の成果であることを文末に書き添えている。現在初校が済んだところであり、7~8月には刊行の予定である。 2018年7月21~22日に金沢大学で開かれた「第25回ヘレニズム~イスラーム考古学研究会」において、林は「ササン朝グリフィンの地中海・ヨーロッパへの伝播」を、シモニェーフスキは「Pottery is more than just a piece of clay - the mysterious case of sphero-conical vessels (8th-13/14th c. AD)」を発表した。後者はこれまであまり注目されてこなかったパイナップル形の厚手の土器資料に焦点を当てたものである。 林は9月14~15日に韓国・慶州で開かれた「第4回国際シルクロード研究会議」において、「Eurasian Steppe Silk Road: Past and Future(ユーラシア草原シルクロード―過去と未来―)」と題する発表を行い、いわゆるシルクロードの中で草原ルートが果たし役割を評価し、また現在の政治・経済・宗教事情が将来のシルクロード研究に影響を与えそうな問題を指摘した。
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