研究課題/領域番号 |
16F16781
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関谷 勇司 東京大学, 情報基盤センター, 准教授 (30361687)
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研究分担者 |
BRUYERE MARC 東京大学, 情報基盤センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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キーワード | SDN / Internet Exchange / Traffic Engineering / NFV |
研究実績の概要 |
本年度の研究にて達成したのは、主に次の2点である。 (1) Internet Exchange はインターネットのコア部分においてトラフィックを交換する重要な公的インフラであり、より確実な堅牢性が求められている。本研究では、SDNを使うことで堅牢性を向上させることを目指しており、本年度はそのためのアーキテクチャである "Umbrella" アーキテクチャを提案し、プロトタイプ実装することで検証を行った。また、その結果を論文にまとめ投稿した。 (2) Internet Exchange にて用いられている機材に関して、現在のハードウェア Ethernet スイッチに代わるより論理的なトラフィック交換機材を実現するための調査と考察を行った。実際の Internet Exchange にて交換されるトラフィックデータを基に、より拡張性を持ち複数台の機材を連結して論理的に構成できるような、Internet Exchange に適した Ethenet スイッチソフトウェアに関する検討を行った。その第一段階の取り組みとして、Internet Exchange の参加者同士にて交換される経路情報を集め、その経路情報の動向から現在の参加者がどのように Internet Exchange を利用し、トラフィック制御 (トラフィックエンジニアリング) しているかの分析を行った。引き続き分析を続けることにより、モバイルトラフィックや IoT のトラフィック等、そのトラフィックの性質に応じて Internet Exchange にて行うべきトラフィック制御の仕様を決定する基礎データとして利用する。この結果は研究会において口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の数ヶ月感において、SDN 技術を用いて堅牢な Internet Exchange を実現するための "Umbrella" アーキテクチャを提案することができた。これは、日本での研究者のつながりを利用することで、日本の複数社の Internet Exchange オペレータと意見交換を行う機会を頻繁に得ることができ、それによって達成できた成果である。また、同様に日本国内での研究者同士のつながりを活用し、複数のベンダーが販売している SDN スイッチを試用することができ、その結果として "Umbrella" アーキテクチャとソフトウェアの完成度を高めることができた。上記の理由により、初年度は想定以上の進捗を遂げることができた。さらに、提案したアーキテクチャに関して 3本の論文を執筆し、投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、さらにモバイルネットワークに注力したアーキテクチャの検討と実現を目指した研究を行う。LTE や 5G における国際レベルでのモバイルローミングを考慮し、モバイルトラフィックの往復を避ける形での効率的なトラフィック制御を可能とする Internet Exchange アーキテクチャを検討する。そのためには、Internet Exchange 間でのトラフィック制御機器の論理的な統合を実現する必要があり、このアーキテクチャを実現するための機構を "Umbrella" ソフトウェアに実装し、検証する。日本における研究 Internet Exchange の運用母体である WIDE Project や、商用 Internet Exchange である JPNAP、JPIX とも協力し、"Umbrella" アーキテクチャを実現するソフトウェアを実展開し、実証実験を行う予定である。さらに、日本以外にはフランスの LAAS CNRS とも協力し、欧州の複数拠点での実証実験を目指す。
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