協力行動(共有するゴールのためにパートナーと共同して働く)は、ヒトという種のホールマークの一つであると考えられている。しかしながら、こうした協力行動が、ヒト―ヒト間に見られるものか、それとも、ヒト以外のエージェント、例えばロボットにも見られるかはまだ解決されていない問題である。これまで、申請者らの研究では、ロボットとヒトが協力しておもちゃを得ようとする場面で、14カ月児は、ロボットが明らかなヒトの協力者であるという確証は得られなかった。しかしながら、その注視時間から、ロボットの新奇性が高すぎる可能性が示唆され、次の実験では、その新奇性を減じるために、実験セッションの前に、ロボットに発話や社会的な行動(手を振るなど)を付与し、ロボットがフレンドリーな存在であることを示した。しかしながら、なおも、ロボットがヒトのパートナーであるという明確な確証には至らなかった。 本年度は、別の視点からの検討を始めた。すなわち、第3者が、ロボットをどのように扱うか、またどのように見なすかの検討である。ヒトとロボットが共同しておもちゃを箱から取り出すという作業を行った後、それを見ていた第3者が、ロボットとヒトに報酬を配分するが、その際に、乳児は、第3者が、ロボットにも公平に配分することを期待しているか否かが、期待違反法によって調べられた。現在、データ取得中である。また、先行研究では、乳児は、労働量に応じて、報酬が配分されるべきであることを期待していることがわかっているが、次の段階として、ロボットにもこうしたルールを適用するか否かの検討も合わせて行う。なお、前年度までの成果として、”Infants’ Perceptions of Cooperation between a Human and Robot”と題して、国際学術誌のInternational Journal of Social Roboticsに投稿した。
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