研究課題
申請者の研究プロジェクトは、優れたデータ保存デバイスの基礎物性を探求することを目的としている。レーザー励起による結晶ー非結晶相転移によって情報を記録する光学メディアDVDについて、新しい材料として期待されているGe-Cu-Te混合系半導体の相変化メカニズムを解明するために、放射光X線を用いたX線異常散乱(AXS)法によって非結晶状態(アモルファス相)の原子配列を、アモルファス相の構造を正確な3次元原子配列として導出する。特にGe原子が、DVDとしての速い相変化と長い記録保持性に大きく関わっていることがこれまでのGe-Sb-Te混合系における測定によりわかりつつあるので、光反射率の逆転などエキゾティックな物性と高温で高い安定性を示すなど実用面でも優れているGe-Cu-Te混合系の中距離原子構造と物性の深い関係を、Ge-Cu組成比をいくつか変化させたデータから明白にすることを試みた。Ge-Cu-Te混合系薄膜を、ドイツ・ダルムシュタット工科大学においてスパッター法 によって作製した。試料はSPring-8においてGe、CuおよびTeそれぞれの元素のまわりの差構造因子を求めるAXS実験を行い、統計性の優れた結果を得た。差構造因子は元素によって異なった形状を持つ。得られた結果は、逆モンテカルロ法を用いて、原子配列を3次元的に導出した。特にGeのまわりの中距離構造に着目し、その配列からその電子状態との関係を導き出した。得られた結果はPhysical Review Lettersに投稿準備をしている。また、AXS法の測定手段の大幅な改善については、6月に台北で行われる第13回放射光装置に関する国際会議で報告する予定である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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http://crocus.sci.kumamoto-u.ac.jp/physics/SR/index.html