研究課題/領域番号 |
16F16797
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
隅野 行成 東北大学, 理学研究科, 准教授 (80260412)
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研究分担者 |
BERWEIN MATTHIAS 東北大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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キーワード | QCDポテンシャル / クォーク間力 / モノポール / 双対マイスナー効果 |
研究実績の概要 |
クォーク間力を表すQCDポテンシャルの近距離での性質を定性的に明らかにするために、正則化されたMaximally abelianゲージを用いてQCDポテンシャルを1ループまででBerwein研究員が中心となって計算した。正則化変数ξ→0の極限でMaximally abelianゲージに一致するようなゲージを定義して、Feynmanルールを構成して摂動計算を行なった。全ての寄与の和についてはξに依らない既知の正しい結果を再現した。同時に、abelian部分の寄与とnon-abelian部分の寄与をそれぞれ分離することができた。その結果、前者の方が後者に比べてカラー因子の分だけ小さな寄与を与えることが分かった。これはnaiveな予想に沿ったreasonableな結果ではある。しかしながら、或いは見えるかもしれないと期待されたモノポールによるリニアポテンシャルの寄与は現在までの処、その所在が見えない。モノポールの寄与は非摂動的な形を取ると推定されるが、一方で摂動計算にも高次補正には近距離でのリニアポテンシャルが含まれることが知られているので、その両者の整合性がまだ理解できていない。現状で考え得る仮説は、今使っている正則化法ではξ>0ではモノポールの寄与は全く見えない定義になっている、ということが予想される。今後の方針としては、2ループ以上で同様の計算をしてみる、別の正則化されたMaximally abelianゲージを定義して計算する、(近似的にでも)モノポール配位に対応する摂動計算を明らかにする、などが挙げられる。それらによって摂動計算とMaximally abelianゲージでのモノポールの寄与の関係を明らかにすることを目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
元々正則化したMaximally abelianゲージに一致するようなゲージを定義して、Feynmanルールを構成して摂動計算を行ない、モノポールの寄与と摂動計算における近距離のリニアポテンシャルの関係を調べることを目標としていた。まだその関係を明らかにすることには成功していないが、まずは必要となるゲージを定義して、1ループまでの摂動計算を実行することができた。この計算自体は新しい結果で、それだけでも新しい知見であることは間違いないので、現状で、当初の計画から大きく外れているとは言えない。
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今後の研究の推進方策 |
先に定義した正則化されたMaximally abelianゲージを用いて、2ループでQCDポテンシャルの摂動計算をする。これはかなり非自明な計算であるが、これまでに培った摂動計算のテクノロジーを用いれば実行可能であると考える。また、別の正則化されたMaximally abelianゲージを定義して計算してみる。上述の通り、最初に定義した正則化法はモノポールの寄与を引き出すのに不適切である可能性があるので、近似的にでもモノポール配位に対応する摂動計算法を見つける努力をする。それらによって摂動計算とMaximally abelianゲージでのモノポールの寄与の関係を明らかにすることを目標とする。
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