研究課題
光合成生物は、光合成装置の機能と代謝機能の共役を、還元力を伝達することで制御している。この制御の中心的な役割を果たしているのは、チオレドキシンという分子内にジスルフィド結合を形成可能な二つのCys残基を持ったタンパク質である。チオレドキシンは、光合成電子伝達系から供給される還元力の一部を利用して自身のチオール基の酸化還元状態をコントロールし、これを標的タンパク質に受け渡すことで、標的タンパク質の機能を制御する。糸状性窒素固定型シアノバクテリアAnabaena sp. PCC7120株の場合には、還元力の供給が、他のシアノバクテリアと同様に酸化ストレス防御システムの駆動に重要であるほか、窒素固定に特化したヘテロシスト細胞の形態形成や、窒素固定の主役であるニトロゲナーゼの機能に重要である。これまでの研究で、このシアノバクテリアが持つ複数のチオレドキシンアイソフォームのうち、チオレドキシンm1とCについて破壊株を作製し、その表現型を調べ、レドックス制御系の重要性を記述した。今年度は、このチオレドキシン破壊株を窒素飢餓条件で培養した場合の表現型、細胞内の状態変化を調べ、このシアノバクテリアが窒素固定モードに遷移する条件下でのレドックス制御系の役割を明らかにした。この研究は論文発表済である。また、もう一つのレドックス制御因子であるNTRCの破壊が及ぼす影響を、生理学、ショットガンプロテオミクス法の両面から調べた(論文執筆中)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant and Cell Physiology
巻: in press ページ: in press
doi: 10.1093/pcp/pcz056
巻: 59 ページ: 2432-2441
doi: 10.1093/pcp/pcy163