研究課題/領域番号 |
16F16806
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小寺 哲夫 東京工業大学, 工学院, 准教授 (00466856)
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研究分担者 |
TYLAITE EGLE 東京工業大学, 工学院, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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キーワード | 量子ドット / 量子デバイス / スピン / 量子情報 / シリコン / 正孔 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、スピン状態を高速に読み出す技術を開発し、シリコン量子ドット中のスピンコヒーレンスの物理を解明することにある。本研究により、スピン軌道相互作用の大きさを定量的に評価し、さらに電場や磁場に対するスピン軌道相互作用の大きさやスピン緩和時間の依存性を得ることを目指している。 具体的には、MOS構造を利用したpチャネルの量子ドットを作製し、高速読み出しに使用する単正孔トランジスタを量子ドットの近傍に配置する。またスピンを高速に読み出すためのRF反射法を利用した測定系を構築し、既存のnチャネル量子ドットと対比させながら、新たに作製したpチャネル量子ドットにおけるスピンコヒーレンスに関わる物理を明らかにしていく。 本年度は、研究実施計画に沿い、素子の作製と測定系の立ち上げに取り組んだ。シリコン量子ドット素子は、電子線描画装置やドライエッチング装置などを利用して作製した。MOS構造を利用したpチャネルの2重量子ドットを作製し、高速読み出しに使用するための単正孔トランジスタを量子ドットの近傍に配置した。素子評価として低温における電気伝導測定を行い、素子が設計通りに動作することを確認した。さらに、磁場応答を調べることで、正孔のもつスピンに依存する電気伝導やスピンの緩和に関する知見を得た。また、単正孔トランジスタによって2重量子ドット内の電荷状態を検出し、今後の高速測定に向けた動作を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実施計画に沿って、素子の作製と測定系の立ち上げに取り組んだ。MOS構造を利用したpチャネルの2重量子ドットを作製し、高速読み出しに使用する単正孔トランジスタを量子ドットの近傍に配置した。素子評価として低温における電気伝導測定を行い、素子が設計通りに動作することを確認した。また測定系の立ち上げも進めた。 さらに、素子の磁場応答を調べることで、正孔のもつスピンに依存する電気伝導やスピンの緩和に関する知見を得ることができ、当初の計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、作製したシリコン量子ドット素子の評価を行う。具体的には、2重量子ドットの正孔輸送特性の直接測定や、単正孔トランジスタによる電荷センシング測定を引き続き行い。成果を論文化する。さらに、昨年度に引き続き、RF反射法(radio-frequency reflectometry)を利用した測定系の構築を行い、高速な量子ドット内の状態検出を行っていく。
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