研究課題
本研究の目的は、スピン状態を高速に読み出す技術を開発し、シリコン量子ドット中のスピンコヒーレンスの物理を解明することにある。本研究により、スピン軌道相互作用の大きさを定量的に評価し、さらに電場や磁場に対するスピン軌道相互作用の大きさやスピン緩和時間の依存性を得ることを目指している。具体的には、MOS構造を利用したpチャネルの量子ドットを作製し、高速読み出しに使用する単正孔トランジスタを量子ドットの近傍に配置する。またスピンを高速に読み出すためのRF反射法を利用した測定系を構築し、既存のnチャネル量子ドットと対比させながら、新たに作製したpチャネル量子ドットにおけるスピンコヒーレンスに関わる物理を明らかにしていく。本年度は、研究実施計画に沿い、作製した素子の評価を進めると同時に、測定系の構築を進め、RF反射法による測定を開始した。2重量子ドットにおける正孔輸送特性の直接測定や、単正孔トランジスタによる電荷センシング測定に成功した。2重量子ドットにおける正孔輸送特性の直接測定では、スピンブロッケード現象を観測した。スピンブロッケード状態でわずかに流れるリーク電流の磁場依存性から、スピン軌道相互作用によってスピン緩和が起きていることを示唆する振る舞いが得られた。また、そのリーク電流の磁場依存性が、上部電極の電圧によって変調されることを観測した。電界によってスピン軌道相互作用を制御できている可能性がある。今後、スピン緩和時間やデコヒーレンス要因について調べることを目指し、RF反射法を用いた測定データの取得を行うことができた。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 9件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
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http://t2r2.star.titech.ac.jp/cgi-bin/researcherpublicationlist.cgi?q_researcher_content_number=CTT100574609
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