| 研究課題/領域番号 |
16F16906
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| 研究機関 | 東京大学 |
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研究代表者 |
杉田 英明 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90179143)
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| 研究分担者 |
KHAN MOHAMMED 東京大学, 大学院総合文化研究科, 外国人特別研究員
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| 研究期間 (年度) |
2016-11-07 – 2019-03-31
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| キーワード | 古代日本 / イスラム文明 / 医学史 / 書物史 / 中世史 / 異文化交流史 / 比較史 / アジア史 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は，イラン出身のイスラム医学者ラーズィー（864-925/932年頃）と，日本の宮廷医・丹波康頼（912-95年）とを対象とし，それぞれが古代ギリシア・ローマおよび中国という先行する近隣文明の医学書の伝統をどう理解し，自らの著作にどう取り入れたかを検討する。具体的には，両者が著わした医学全書『医学集成（ハーウィー）』と『医心方』を取り上げる。
2016年度には，ムジーブ・カーン氏が研究の第一部として，両書の食事療法について分析を行なった。2017年度にはその結果を国際雑誌に投稿する予定。また，ピッツバーグ大学出版局で2017年度に出版予定の「近世以前科学史における翻訳による発見」を主題とした共編書に投稿決定済みの論文の校正が終了。論文は『医学集成』および『医心方』と，各々の後の時代に出現した医学書との構造に関する比較研究である。同じく2017年度に国際雑誌Journal for the Intellectual History of the Islamicate World（volume 5.3）に投稿決定済みの論文も校了している。この論文はラーズィーの後継者の一人であるイブン・スィーナーの『医学の詩』を素材に，詩の様式ではなく内容を分析することにより，これを実用書と断定する可能性を明らかにする。
そのほかにムジーブ氏は，日本とイスラム文明に加えて英国，ローマ，中国などを含む中世期における医学書の著作方針の変容に関する論文を準備中である。先行研究では医学書の変容を内容においてのみ分析し，歴史的な思想の変化が重視された。これに対し本論文では，医学書の展開に構造的変化が見られること，中世期には医学の実用書が急増することを指摘する。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ムジーブ・カーン氏が来日を当初の予定の9月15日から11月30日に遅らせたため，2016年度は研究時間が少なかった。したがって，論文の投稿時期にもわずかな遅れが生じた。ただし，研究計画で予定していた論文作成とそのほかの研究は順調に進展している。
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| 今後の研究の推進方策 |
ラーズィーと丹波康頼の両著に関する比較研究の継続。
1）両著の食事療法に関する研究をまとめた論文を国際雑誌Bulletin of the History of Medicineに投稿する予定。2017年5月に英国日本研究協会日本部の学会で，康頼が彼以前の考えをどう批判したかについて発表する。
2）両著とそれらに先行する書物との比較研究を2017年7月に英国科学史研究協会で発表，年内に国際雑誌Isis: A Journal of the History of Science Societyに投稿する。
3）両著におけるインド医学の扱い方について，2017年7月に国際中世史研究協会で発表，年内に国際雑誌のBritish Journal for the History of Scienceに投稿。
4）両著の構造の共通性と相違点に関する調査と比較研究も併行して開始すると同時に，康頼の『医心方』に関する研究，ならびにラーズィーと康頼の両書の比較研究についての書籍の企画書を，2017年度の終わりまでに作成する予定である。
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