研究課題/領域番号 |
16GS0203
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 肇 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60159019)
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研究分担者 |
荒木 武昭 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20332596)
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キーワード | ソフトマター / 多自由度・階層系 / 階層間の動的結合 / 粘弾性相分離 / 二秩序変数モデル / 外場による制御 / 液体・液体相転移 / ガラス転移 |
研究概要 |
ソフトマターの最大の特徴は、幾重にもわたる動的階層構造にある。我々は、たんぱく質に代表される一見のろまな生体物質が多様かつ優れた機能を効率的に発現する鍵は、大きな自由度を階層的に内包した系に特有な協同的機能発現の様式にあると考えている。この協同性、即ち階層間の動的結合を担う最も本質的かつ重要な因子は、最低次階層を担う液体の流動性であると考えられるが、その具体的な役割は、非局所性に起因した困難さのため未解明のままであった。また、我々は、従来の常識に反し、液体自身にも動的階層性が普遍的に存在し、それこそが液体における未解明の問題を解き明かす共通の鍵であると考えている。そこで本研究では、動的階層構造という概念に主眼を置き、ソフトマターや液体(多自由度・階層系)における動的結合と協同的機能発現の基本原理を明らかにすべく、我々が新しく開発した実験・シミュレーション手法を駆使し研究を行ってきた。 本年度得られた主な研究成果をいくつか述べる。(1)流体粒子ダイナミクス法により、ネマティック液晶にコロイドが分散した系において、配向欠陥のトポロジーに起因する新しい粒子間相互作用を見出した。また液晶中を運動する粒子について、粒子の界面特性に依存した複雑な運動の挙動を示した。これは粒子表面による新しい粒子分別法の可能性を示唆している。(2)単成分液体において粘性率が密度に依存する場合、単純せん断流により非圧縮条件が破れ、液体が不安定化しキャビテーションなどの現象を起こすことを理論的に示した。(3)リオトロピック液晶(のスポンジ・ラメラ転移において、これまで必須と考えられてきたずり流動がない場合においても、マルチラメラベシクルが自発的に生成すること、またその形成メカニズムを詳細に観測した。(4)単成分分子性液体TPPで起こる液体・液体転移において、その起源と考えられる局所安定構造の存在をX線散乱実験により確認した。
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