研究課題/領域番号 |
16GS0205
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
細野 秀雄 東京工業大学, フロンティア創造共同研究センター, 教授 (30157028)
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研究分担者 |
川路 均 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (10214644)
神谷 利夫 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (80233956)
平山 博之 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (60271582)
林 克郎 東京工業大学, フロンティア創造共同研究センター, 助手 (90397034)
柳 博 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (30361794)
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キーワード | エレクトライド / 電子放出材料 / 光誘起変化 / イオン注入 |
研究概要 |
本年度は全年度に続き、C12A7結晶中のケージに活性アニオンを包接させた物質を対象に機能発現とそのメカニズムの解明について研究を行なった。得られた成果は以下のようにまとめられる。 1.電子を包接させたC12A7エレクトライド単結晶試料(電子放出面80μm^φ)を使って、熱電界電子放出特性を測定した結果、900℃、6kVの引き出し条件において最大で80μAの電流を得ることができた。また、50μAの引き出し電流では90時間に亘って安定に作動した。Richardson-Dushmanの式から求めた仕事関数は2.1Vであり、LaB6のそれ(2.7V)よりもかなり小さく、雷子放出材料として優れた特性を有することがわかった。 2.C12A7:H-に電子線を照射することで、照射部位が絶縁体から電子導電体に転化することを見出した。25keVの電子あたり28個の電子キャリアを生成することが見積もられた。電子ビームは紫外光とは桁違いにビームを絞ることができるので、この発見で微細な導電パターンの直接描画が可能となった。 3.高温でのC12A7薄膜に希ガスイオンのイオン注入することによって、ケージ中の酸素イオンがきばされ、エレクトライドの薄膜を得ることができた。 4.C12A7,C12A7:O_2^-+O^-およびC12A7エレクトライドについて、溶解熱などの測定によって熱力学的安定性を評価した。・生成エンタルピーはC12A7:O^-+O_2^-<C12A7:O^<2-><<C12A7:e-であった。C12A7:Hの紫外光誘起電子導電体化の機構を検討し、H-は2つの電子を放出するダブルドナーであることを見出した。生成したH^+はケージ中のO^<2->と結合し、OH^-となって安定化する。
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