研究課題/領域番号 |
16GS0206
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
上村 大輔 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00022731)
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研究分担者 |
有本 博一 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (60262789)
北 将樹 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (30335012)
吉田 久美 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (90210690)
大野 修 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20436992)
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キーワード | 生態系ダイナミズム / 天然物化学 / 物質探索 / 生物浩性 / 共生現象鍵物質 / 化学生態学 / 巨大炭素鎖化合物 / 渦鞭毛藻 |
研究概要 |
本研究では、自然界における生物現象から真摯に学び、切れ味の良い有用天然有機分子の探索を試みた。さらに、新規化合物の構造決定だけではなく、その展開利用までを視野に入れた姿勢で研究に取り組み以下の成果を得た。 共生、寄生現象に関与する物質探索では、造礁サンゴ幼生の着底・変態誘引物質としてサンゴ藻抽出物より単離した新規化合物luminaolideの全平面構造を決定し、その活性発現のメカニズムを解明した。 食物連鎖ダイナミズムに着目した物質探索においては、共生渦鞭毛藻より単離した巨大炭素鎖化合物symbiodinolideについて、分解反応による部分立体構造の解析に取り組み合計14ヶ所の不斉点の立体構造を決定した。さらに、分解反応の検討により、第二世代Grubbs触媒によってアリルvie-ジオールの開裂が引き起こされる新反応を見出した。また、symbiodinolideの各部分構造の化学合成に着手し、C23-C34、C33-C42、C79-C96、C1'-C25'フラグメントの合成を達成した。 天然毒の研究に関しては、ウミケムシが有する炎症惹起物質complanineの合成を達成し、立体構造を決定した。さらに、ウミケムシが有する新たな炎症惹起物質の単離を試み、新規化合物neocomplanine A, Bを単離し、構造を決定した。また、昨年度クロイソカイメンより単離したpinnarineを、新たに合成法を確立したpinnaic acidより誘導する方法で合成することに成功した。 化合物の詳細な活性評価においては、脂肪蓄積阻害物質(-)-ternatinの機能解明を目指して新たにビオチン化体と蛍光標識体を合成し、それらのバイオプローブとして有効な機能を確認した。また、渦鞭毛藻Symbiodinium sp.より単離したポリオール化合物symbiospirol AについてPKC阻害活性を見出した。
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