研究分担者 |
中條 善樹 京都大学, 工学研究科, 教授 (70144128)
林 民生 京都大学, 理学研究科, 教授 (00093295)
清水 正毅 京都大学, 工学研究科, 助教授 (10272709)
池田 富樹 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (40143656)
加藤 隆史 東京大学, 工学系研究科, 教授 (70214377)
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研究概要 |
1.π電子共役系モジュールの革新的かっ実用的合成法として,前年度までに開発したニッケル触媒カルボシアノ化反応が,ルイス酸触媒の添加によって飛躍的に加速されることをみつけた.これによって,これまで反応しなかったシァン化アルケニルやアセトニトリルのアルキンへの付加も進行するようになり,カルボシアノ化反応の一般性が大きく向上した.さらに安価な鉄触媒を用いるアルキンのカルボメタル化反応を開発した.交差カップリング反応を利用するπ共役系化合物の合成法では,高価なパラジウムの代替触媒としてコバルト触媒を用いるアルキニル-アルケニルカップリング反応による共役エンインの合成ならびにgem-ジボリルアルケンを利用したトリアリールエテンの簡便かつ効率的合成法を開発した. 2.π電子共役系モジュールを利用したハイブリッド共役系の構築をさらにすすめた.ロッド型オリゴフェニレンエチニレン類の分子側面や分子末端をドナーおよびアクセプター官能基で修飾した化合物群の発光特性を明らかにし,発光効率のエントロピー依存性および分子内エキシトンmovability依存性をみつけた.また,ケイ素やフッ素を機能発現の鍵とする青色発光低分子を開発した. 3.π共役系分子の集積化による高次構造構築をさらにすすめた.例えば,[2.2]パラシクロファンをポリメチレン側鎖に配置することにより,シクロファン同士が相互作用する芳香環積層高分子の合成に成功し,その諸物性を詳細に検討した.さらに,液晶性オリゴチオフェン誘導体の光配向変化を利用して,一回の光照射で偏光マイクロレンズを作製した.液晶性共重合体を用いて,青色偏光発光有機EL素子の作製も行った.また,カラムナー液晶性オリゴチオフェンおよび重合基を有するカラムナー液晶性イオン液体の自己組織化により,一次元的な電子・イオン機能性材料を構築した. 4.新しい有機電子デバイスとして,電子共役分子をベースに有機トランジスタの開発を行った.新規なメタルベース縦型有機トランジスタ(MOBT)を提案し,これを用いる有機EL素子の駆動に成功した.
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