研究課題/領域番号 |
16GS0219
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
加藤 礼三 独立行政法人理化学研究所, 加藤分子物性研究室, 主任研究員 (80169531)
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研究分担者 |
古崎 昭 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 主任研究員 (10238678)
塚越 一仁 独立行政法人理化学研究所, 河野低温物理研究室, 先任研究員 (50322665)
辛 埴 国立大学法人東京大学, 物性研究所, 教授 (00162785)
高木 英典 国立大学法人東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (40187935)
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キーワード | 電子機能物質 / 自己組織化 / 有機導体 / 遷移金属酸化物 / 電荷分離 / ナノギャップ電極 / 光電子分光 / 一次元電子系 |
研究概要 |
電子機能物質における自己組織化現象の解明と応用に関する以下の成果が得られた。 ○電荷の自己組織化によって絶縁化した有機導体α-(ET)_2I_3にパルスレーザーを照射して、金属状態を誘起することに成功した。重要な点は、光を切った後に7桁以上の抵抗変化を伴う巨大電流応答をもつ新たな金属状態が出現し、電場を印加している限り永続的に保持される現象を有機導体では世界で初めて観測したことである。 ○電荷の自己組織化のユニークな舞台として、正四面体のネットワークが電荷の秩序を妨げるスピネル型酸化物を取り上げて、新規な電子秩序の探索を進めた。電荷液体状態が極めて有効質量の重い電子系として現れるLiV_2O_4において、強磁場下で磁場誘起秩序を発見した。 ○ナノスケールでの分子材料伝導システム制御を目的として、ナノギャップ電極の作製技術の確立を追求し、トンネル電流を計測するシステムをギャップ作製システムに導入して1-2nmの間隔を有する電極を制御良く作製する方法を確立した。さらにナノスケール界面の制御のため電界効果有機トランジスタにおいて基板/チャネル界面の散乱要因を追求した。 ○超精密電子状態解析を目指し、ヘリウムクライオスタットと真空チェンバーを購入し、光電子分光器用の低温テストの準備を行った。また、超高分解能光電子分光によって、有機超伝導体κ-(ET)_2Cu[N(CN)_2]Br,とκ-(ET)_2Cu(SCN)_2の超伝導ギャップを初めて観測し、d波超伝導ギャップ異方性を仮定して解析できることを明らかにした。 ○(カーボンナノチューブや半導体量子細線の電気伝導の理論モデルとして、)斥力相互作用している一次元電子系(朝永・ラッティンジャー流体)における不純物散乱効果を解析し、磁場によってスピン偏極した電子系ではトンネルコンダクタンスの温度依存性が非単調になる場合があることを明らかにした。
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