本研究では、高高度気球からドラッグフリー技術を使用した微小重力環境部を落下させ、ここで各種微小重力実験を行うことを目的としたシステムを開発している。平成18年度までに基本システムの設計、製作、および1号機による飛翔動作確認試験を行い、平成19年5月の2号機にて実際に約30秒の微小重力実験に成功した。続いて、定常運用可能な微小重力実験システムとして完成させるべく、4号機(空気吸込式エンジン搭載の3号機は、本研究期間中に実施できなかったので他研究へ引き継ぐ予定)は当研究グループ外の研究者の微小重力実験を実施することとし、インターフェイスのユーザフレンドリー化等を行った。平成19年9月に飛翔予定であったが風向きが飛翔に適さず平成20年度に延期されたが、平成20年度も宇宙航空研究開発機構の大気球実験場移転作業等に時間を要し、飛翔実験ができなかった。このため、科研費の繰り越しを行い、平成21年5月に4号機飛翔実験を実施した。微小重力実験として実施した濡れ性の観測は、実験パラメータ調整の不備から不首尾に終わったが、約35秒間の微小重力環境は2号機に続いて連続2回実現することができ、本システムの実用化に向けて目処が立った。 なお並行して、将来の実験での要求に応えるための太陽センサ、地磁気センサ、GPS受信機を用いた姿勢決定法の研究および実証試験を平成20年9月および平成21年5月に実施し、これについても実用化の目処を立てた。平成21年度は、4号機の飛翔実験後に、これまでの実験データの整理、今後の当該分野研究課題の整理を行い、一般向けシンポジウムの開催、パンフレットの作成、成果公表用の記録映像整理や説明用CGの作成などを実施した。
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