研究課題/領域番号 |
16GS0307
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近藤 滋 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10252503)
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研究分担者 |
川上 浩一 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系初期発生研究部門, 准教授 (70195048)
宮澤 清太 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (10377905)
渡邉 正勝 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 講師 (90323807)
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キーワード | コンピューターシュミレーション / システム生物学 / 動物形態 / 形態形成 / 反応拡散系 / チューリング / パターン形成 |
研究概要 |
研究は2つの流れで行っている。一つ目は、インビボでのレーザーによる模様パターンの一部消去に誘導される色素細胞の挙動を調べることで、色素細胞を単位とした細胞間ネットワークを解明すること、2つ目は、模様形成に関係する分子の同定、機能解析である。 インビボの系では、既に黒色細胞と黄色細胞との間に、相互作用ネットワーク同定しているが、実際に個々の細胞の動きまで観察すると、完全には説明できない状況も存在するため、さらに詳細な実験が必要であると考えている。特に、細胞の動きが重要と考えられたので、それぞれの色素細胞がどのような規則で移動していくのかを解析した。その結果、黒色色素細胞は、近接すると互いに反発し、距離を開ける方向に動く性質があることがわかった。この性質により、黒ストライプ内で、細胞が等間隔に並ぶ状況が維持されているものと考えられる。また、黄色色素細胞との間には、特に移動を刺激するような関係は見出せなかった。細胞の移動は縞模様形成そのものには、主たる働きをしていないと考えられた。 関連分子の同定を目的とする実験では、まず、黄色、黒色色素細胞に特異的に発現する膜タンパク、分泌タンパクをgene chipで選び出し、それらが模様形成にどのような影響を与えているかを、色素細胞特異的なプレモーターの下流で発現させることで調べていく。現在、特異的なプロモータのチェックと遺伝子の選び出しを行っている。既に、複数の候補遺伝しつき、トランスゲニック魚を作成し、その遺伝子の模様に与える影響を調べている。そのうち2つの遺伝子に関しては遺伝子導入が模様変異を引き起こすことが解ったため、詳しい遺伝子レベルの解析を開始した。 また、既にクローニングした2つの模様変異遺伝子がイオンチャンネル(Kチャンネル、ギャップジャンクション)であったことから、イオン等の低分子がシグナル伝達に関与している可能性があるので、さまざまな低分子透過性のチャンネル遺伝子を、色素細胞に異所性に発現させることで、模様にどのような変化が起きるかを調べた。Jaguar Leopardの2つの遺伝子に関して、遺伝子本来のプロモータ制御下に発現させることで模様の復帰を確認した。また、Jaguarに関しては、黒色素細胞のみに発現させることで、模様の回復が可能であるとがわかった。今後、それぞれの遺伝子に対して、機能の部分破壊した遺伝子を導入することで、模様変異の原因を探りたい。
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