研究目的 : スーパーサイエンスハイスクール事業における独自のカリキュラムで学ぶ生徒(以下、SSHクラス)と学習指導要領で学ぶ生徒(非SSHクラス)を比較し、SSH事業が目指す次世代科学技術系人材としての資質・能力の育成について検証する。 研究方法 : 2016年5月及び2017年2月に1学年314名と2学年301名、合計615名(SSHクラス153名、非SSHクラス462名)を対象として、質問紙調査を実施し、平均得点を比較分析した。分析に用いた変数は次世代科学技術系人材に求められる資質・能力についての9項目「課題発見力」「課題解決力」「プレゼンテーション力」「英語力」「環境問題解決に貢献できる」「経済成長に貢献できる」「地域文化振興に貢献できる」「社会の安全・安心に貢献できる」「科学的な知識を日常生活で活用できる」、及び研究者志望についての3項目「自然科学系研究者志望」「社会科学系研究者志望」「人文科学系研究者志望」である。 研究成果 : (1) クラス差を検討するために、2016年5月調査で学年×クラスの2要因分散分析を行ったところ、「課題解決力」「科学的な知識を日常生活で活用できる」「自然科学系研究者志望」についてSSHクラスは非SSHクラスより高いことが有意に認められた。 (2) 1学年の1年間の変化を検討するために、5月調査2月調査×クラスの2要因分散分析を行ったところ、SSHクラスの「課題発見力」「課題解決力」「プレゼンテーション力」が有意に上昇した。同様に2学年について、5月調査2月調査×クラスの2要因分散分析を行ったが年間の有意な変化は認められなかった。ただし「課題発見力」「課題解決力」「プレゼンテーション力」「環境問題解決に貢献できる」「科学的な知識を日常生活で活用できる」「自然科学系研究者志望」について、SSHクラスは非SSHクラスより高いことが有意に認められた。
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