研究実績の概要 |
ビックデータ時代といわれる今日, データから傾向を読み取り, それに基づいて課題を設定することや意思決定することは, これからの社会生活の中で必要な資質・能力である。しかしながら現在の高等学校での統計教育は, まだまだ統計の知識や技能を獲得することに偏重しており, これらの力を育成するような学習活動までは行えていない。 そこで本研究では, 「テクノロジーを使って分析し, グループで学習する多変数の教材が, 現代人に必要な資質・能力である『多変量データから課題設定できる力』の育成に有効である」との仮説をもとに, 教材を開発し, 実践した。これらを学習した生徒の様相は, PPDAC探究プロセスに沿って分析し, 学会等(日本科学教育学会, 全附連高等学校教育部会, 統計教育の方法論ワークショップ)で発表した。 研究の成果は以下の3点である。 (1)多変数の教材では, 解決すべき問題やデータが与えられても, 自らPPDACサイクルを循環させ, 発展的な学習ができることが明らかになった。 (2)本教材の特性を生かし, シミュレーションゲームによって生徒の学習の成果をフィードバックした。活動の様相や授業後の感想から, 生徒にとって, ゲームシミュレーションによる学習の終結がよい「落としどころ」であると考察された。 (3)統計先進国ニュージーランドにて, 学校視察やインタビュー調査を行い, 問題解決学習の評価基準について情報を収集し, 検討した。 次年度は, 評価の在り方を再検討し, 作成したルーブリックによって, 生徒のレポートや発表を実際に評価し, 還元したいと考えている。
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