【目的】助産実践能力習熟段階レベルⅢに相応する実践能力をもつ助産師(以下アドバンス助産師)の経験学習と他者支援を明らかにする。 【方法】中原らが検証した経験学習尺度16項目、他者支援尺度14項目を5件のリッカート法として設定し、定量的記述分析を行った。北海道内のアドバンス助産師が所属する施設の看護部長に依頼し、了承を得た後、自記式無記名調査票を郵送し回収は個別に行った。研究者の所属する倫理委員会の承認を受け実施した。 【結果】37名から回答を得た(回収率67%)。対象者の平均年齢は45.9歳、助産師としての平均経験年数19.1年であった。経験学習尺度の平均は「具体的経験」 : 3.7、「内省的観察」 : 4.0、「抽象的概念化」 : 3.8、「能動的実験」 : 3.9であり、年齢、経験年数に相関は認めなかった。支援を受けている他者は、妊産褥婦78%、先輩助産師76%、医師51%、職場以外の助産師35%、同僚35%、上司14%の順であった。内省を支援している他者は、上司 : 4.3、先輩助産師 : 4.4、職場外の助産師 : 4.3、医師4.1、同僚4.1、妊産婦3.7であった。精神的支援の平均は、同僚4.2、先輩助産師3.6、職場以外の助産師3.5、上司3.3、医師2.6であった。業務支援の平均は、上司4.3、先輩助産師4.1、医師3.8、同僚3.7の順であった。 【考察】アドバンス助産師は、恒常的に妊産褥婦からのフィードバックを受けとめ、多くの他者から内省に関わる支援を受けているという認識が明らかになった。特に内省に関しては、職場内にとどまらず、職場以外の助産師からも支援を受けていることが特徴的であり、助産師の専門職意識に起因すると考えられ、専門職の学習という見地から職場学習を捉え直す可能性が示唆された。
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