現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年の東日本大震災等の大規模災害で甚大な被害を受けたことにより,緊急避難計画の重要性は年々増している.こうした実問題に対して,都市OS等での活用が想定される多階層型データ解析システムの開発を行っている.この場合,問題の難易度(計算量とデータ量)によって適切なデータ解析手法を選択していく.計算量が大きいものは事前に計算しておき,計算量が小さいものは緊急時に実行することによって行動計画の策定に活用する.避難計画においては,近年ネットワークフローモデルを用いた普遍的最速流や辞書式最速流が注目されている.このモデルにより避難者全体として最も効率が良い避難計画を作成できる.しかし実問題の規模では計算時間が大きいため,緊急時の際に実行してリアルタイムな避難計画に反映させることが出来ないという問題を抱えている.現時点では、例えば大阪市における最適避難計画の計算には 69 時間を要しており、東南海地震発生後 2時間以内に到達する津波にはリアルタイムに対応することは不可能である。最適避難計画策定にはヒトに関する初期分布データが必要であるが、昼夜や曜日、さらに天候などに応じて様々な分布から中位解析層において繰り返し計算を行い、結果をデータベースに保存する。現在では各種センサーによって、リアルタイムにヒトの移動や分布を測定することが可能であり、非常事態発生時には現在の分布がこれまでの計算におけるどの分布に分類(クラスタリング)されるのかを機械学習の手法等で瞬時に判別する(ミクロ解析層)。本研究では, センサーやカメラ等でリアルタイムで得 られる簡単な情報 (スナップショット) と事前に計算した辞書式最速流の結果を活用して避難完了時間を機械学習によって予測し, 各時点における人の分布の危険度を推測することに成功した。
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