研究課題/領域番号 |
16H01722
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石川 佳治 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (80263440)
|
研究分担者 |
角谷 和俊 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (60314499)
河合 由起子 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (90399543)
渡辺 陽介 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (80532944)
肖 川 名古屋大学, 高等研究院(情), YLC特任助教 (10643900)
佐々木 勇和 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (40745147)
若宮 翔子 奈良先端科学技術大学院大学, 研究推進機構, 博士研究員 (60727220)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | データアナリティクス / 地理情報システム / 地理オブジェクト分析 / データストリーム処理 / SNS分析 / 時空間分析 / 情報統合 / ビッグデータ分析 |
研究実績の概要 |
サブテーマ「大規模モビリティデータの分析手法の開発」については,行動履歴に対するマイニングから発生する確率的データストリームに対するパターン照合問合せの実行手法や,大量のジオタグ付き写真データから,移動ユーザの行動パターンを分析するマイニング手法を開発した.加えて,移動履歴をベースとして,移動先を予測するための手法の開発等も併せて行った.加えて,大規模時空間データを解析するためのデータベースシステム技術の活用技術,特に配列DBMSの利用技術等の開発も行った. サブテーマ「移動する自動車における情報のリアルタイム分析手法の開発」については,V2X情報のうち,車体周辺に存在するオブジェクト集合の分析技術として,観光レビューサイトのテキストデータを対象に地理オブジェクトの特徴表現に関する研究に取り組んだ.また,あるオブジェクト集合に対し地理オブジェクトを含むキーワードが追加される操作に対する,ユーザ意図の抽出方法について検討を行った. サブテーマ「ソーシャルネットワークにおける時空間情報のリアルタイム分析」については,SNSストリームデータ取得分析ならびに行動の分析・予測手法を提案し,評価検証を行った.SNSストリームデータ取得では,これまでの日本、米国から欧州に拡張し,データ取得を開始した.また,マレーシアを中心としたアジアのデータ取得も開始した.行動の分析・予測では,SNSデータを都内路線の物理的なトポロジを考慮し,ニューラルネットにより機械学習し,分析・予測を行った. サブテーマ「リアルタイム型時空間データストリーム分析基盤の開発」については,自動車におけるデータストリーム処理を意図して,ストリームデータとグラフデータを統一的に扱う問合せ言語を提案した.グラフ探索に適した論理型クエリ言語をベースとしつつ,ストリームデータに対する連続的問合せの機能を取り入れたものとなっている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サブテーマ「大規模モビリティデータの分析手法の開発」において,「研究方式の決定の困難」の理由により,予算の繰越を行った.本研究で対象とする移動軌跡データを,時系列的な点データだけでなく,道路情報やセンサ情報などの意味情報が付与される意味的な移動軌跡データにも拡充する必要性が発生したためである.今後の移動軌跡データの活用においては意味的情報の扱いが極めて重要であることがヒアリング等で明らかになり,調査と研究の拡充のため研究が遅延した. これ以外のサブテーマについては順調に進捗しており,研究発表に対して表彰を得るなどの成果も得ている.
|
今後の研究の推進方策 |
各対象分野において分析手法の研究の洗練と深化に努める.サブテーマ「大規模モビリティデータの分析手法の開発」については,大規模行動センシングデータ分析のためのデータベース問合せ技術を開発する.これまで開発した曖昧性を含むイベント系列の問合せ処理技術を発展させ,行動認識結果の曖昧性に対応して柔軟にパターン照合・検出を行う機能を実現する. サブテーマ「移動する自動車における情報のリアルタイム分析手法の開発」に関しては,V2X 情報とユーザ意図に基づく移動中情報配信サービスの構築を行う.初年度に構築したV2X 情報とユーザ意図の関係に基づき,リアルタイムにユーザ意図の分析を行う技術を開発する.また,初年度のV2X 情報に加え,車車間通信の情報を取り込むことで,多人数の意図をモデル化することで手法を発展させる.分析したユーザ意図に基づき,車内用の情報配信を行うサービスの構築に着手する. サブテーマ「ソーシャルネットワークにおける時空間情報のリアルタイム分析」に関しては,近未来行動予測に基づくリアルタイム行動分析による情報提示および行動推薦に関する研究を実施する.初年度に引き続き,行動予測と時空間コンテキストを考慮した群衆のリアルタイム行動パターンを分析する.また,分析結果より得られた群衆の行動予測に基づいた案内情報の提示ならびに推薦技術に取り組む.これによりイベントへの移動や旅行中,さらに災害時といった様々な状況において,群衆を適切にナビゲーションし,安全かつ効率的な行動支援を実現する. サブテーマ「リアルタイム型時空間データストリーム分析基盤の開発」については,分析エンジンの設計と要素技術の開発に本格的に取り組む.他のサブテーマの内容を踏まえ,それらを統合可能とするシステムアーキテクチャの設計を行い,その要素となる各種技術の開発を行う.インメモリ処理・ストリーム処理に焦点を当てる.
|