研究課題/領域番号 |
16H01739
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
苗村 健 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (90292896)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 拡張現実感 / プロジェクターシステム / ユビキタス情報環境 |
研究実績の概要 |
実世界と情報環境の効果的な融合を目指した拡張現実感(AR)の研究においては,目の前の実世界の映像をディスプレイに表示し,その上に情報を重畳表示する方法が成功を収めている。これは,あくまでディスプレイの中で,現実が拡張されたように感じるという技術である。それに対して,本申請課題では,映像プロジェクタをベースに,ビット情報を画素の高速点滅という形で投影する「情報投影技術」の確立を目的とする。これは,実際に現実世界にビット情報を行き届かせ,位置に応じた空間分割型の情報通信を可能にするものである。このために申請者らは,画素単位での可視光通信を可能にする可視光通信プロジェクタの検討を進めてきた。具体的には,以下の3つに取り組んできた。 ① インタラクティビティの向上:データ生成をFPGA 化するために,高速かつ効率的なデータ転送プロトコルを検討し,FPGA上での実装に至った。 ② 情報通信の効率化と投影映像の高画質化:ハードウェア実装では,LED光源による画面全体の制御も可能にした。一方,可変長なデータフレームを採用したアルゴリズムを検証し,ロバスト性を担保したまま実装できることを明らかにした。ただし,FPGA化に向けてはメモリ量などの観点から容易でないという結論に至った。 ③ 情報投影基盤技術の確立:開発中の可視光通信プロジェクタを用いた応用展開に先立ち,一般のLCDに色変調をかけるなど他のアプローチでどこまでのデータ転送が可能になるのかを明らかにする実装を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FPGAの開発は当初の予定通りに進んでる。可変長データブロックの検討は,PC上での実証はできたが,メモリが多大に必要になるなど,ハードウェア化の問題点が明らかになった。また,このシステムでなければできないことを明らかにするために,より一般的なハードウェアを用いた場合の限界を模索することに着手している。
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今後の研究の推進方策 |
FPGAによる高速化が完了したので,それを使いこなすAPIを整備し,具体的な応用システムを実装していく。また,赤外光を導入した他波長化と,光源LEDによる全画面点滅とDMDによる画素単位の点滅を組み合わせた高画質化の検討によって,さらなる高画質化の可能性を明らかにする。
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備考 |
電子情報通信学会MVE賞受賞
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