研究課題
1. Universal CTC-chipを用いて,抗原抗体反応を利用した血液中の循環腫瘍細胞の分離・捕捉実験を行い,上皮マーカーEpCAMの発現が低い血液中の中皮腫細胞でも抗ポドプラニン抗体NZ-1を用いることで高感度に捕捉することが出来た.2. 循環腫瘍細胞の単離および誘電特性の測定が可能なデバイスを設計・試作し,そのデバイスの有効性を評価するために,ヒト肺がん由来細胞株(PC-9)を用いた基礎実験を行った.細胞懸濁液をデバイスに滴下すると,マイクロウェル内に細胞が単離され,エレクトロローテーションによる誘電特性の測定が可能となることが確認できた.3. 循環腫瘍細胞もしくは血液細胞の1個のインピーダンスを広帯域で測定するためにマイクロストリップ上平行電極を設計し,その数値解析を行った.また,平行電極に並列にインダクタンスを配置し,その共振周波数により循環腫瘍細胞を高感度に検出できるデバイスを設計し,電磁界解析による検討を行った.4. 交流電源への接続作業の手間の低減化や,複数検体の同時処理を想定し,ワイヤレス給電可能なデバイスを設計・試作した.試作したデバイスは,高効率での給電が可能であり,その特性は電磁界解析結果とほぼ一致した.5. エレクトロローテーションによる細胞の誘電特性測定の自動化を目指し,動画像処理による細胞回転角速度の推定を行い,実測値と比較して良好な結果を得た.また,動画像処理の際に細胞の輪郭抽出を行い,細胞回転角速度に対する細胞形状の依存性について検討した.
2: おおむね順調に進展している
本研究課題の要素技術の開発に目処が立ち,現在はその高感度化および患者の検体を用いる際に生じる問題の対処法について検討を行っているため.
平成29年度は,当初の計画通り研究を遂行するとともに,平成28年度の開発した要素技術およびデバイスを改良し,さらなる高感度化・高速化を図る.また,患者の検体を対象とした際に生じる問題点,例えばコロニー化した循環腫瘍細胞を検出するためのフィルターの導入等についても検討を行い,臨床への移行を推し進める.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
ONCOLOGY REPORTS
巻: 37.1 ページ: 77-82
10.3892/or.2016.5235
http://flsi.cird.or.jp/