研究実績の概要 |
本研究では,困っている人の気持ちに寄り添い,場面に応じて手を差し伸べる個人状況適応型の支援ロボットの知能身体技術の確立を,文脈依存型の情報推薦技術の実世界認識行動分野への展開を中心として進める.具体的な研究項目は(A)支援体験経験履歴のビッグデータの取得(嗜好データの入力),(B)コンテキストと支援評価の理解と予測の個人化学習(嗜好の予測),(C)個人文脈依存型の支援行動生成と身体拡張制御(推薦の提示),の三つの構成原理の解明になる.ここでは,支援経験履歴により文脈依存の支援サービスを提供し,その評価と経験を通じた個人化学習を進める必要があるが,行動生成とその評価経験が鶏卵の関係にあり,各要素を順次開発し最後に全体を統合するウォーターフォール方式ではなく,全体システムを構成し,各要素を段階的に深化させていくアジャイル方式を採用する. 平成28年度は移動サービスロボットによる冷蔵庫からの物品取り出しと人への受け渡し行動,双椀産業用ロボットによる棚からの物品の取り出し片付け行動,パーソナルサービスロボットによる人との対話と寄り添い行動の3種類のサービス支援ロボットのプロトタイプシステムを構築し,アジャイル型研究の基盤要素を確立した.また,リモートの分散型データべエースシステムの活用とタスク記述子の提案による認識行動経験履歴データーベースを構築しビッグデータの取得を行った. さらに,取得する物体環境情報認識法やロボットの認識行動の記述法に関しては,多種類のロボットに対応できるようにするため,ロボット間のスキル変換を念頭にした深層学習型の手法も含めて研究を行った. また,人との対話経験の蓄積に基づき個人化された対話の生成法を提案し,サービス支援ロボットを用いた実証実験を通じたユーザ評価実験により個人の嗜好性が反映されていることを検証した.
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