研究課題/領域番号 |
16H01749
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
柴田 智広 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (40359873)
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研究分担者 |
為井 智也 神戸大学, 教理・データサイエンスセンター, 特命講師 (40548434)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 知能ロボティクス / 機械力学・制御 / 機械学習 / 計測工学 |
研究実績の概要 |
(1)ヒトの着衣介助スキルの力学的理解 着衣介助のプロ(介護福祉士、理学療法士)による着衣介助動作(被介助者のモーション、介助者の上肢のモーションおよび手・指8点の力ベクトル)の計測実験を行った。その結果、着衣介助のプロは、手指からは衣服に対して大きな力を発揮する様子は、本システムによって観測されなかった。この結果が、プロのスキルによるものなのか、実験システムの仕様によるものなのか、もしくは実験方法によるものなのか、現在調査を進めている。 (2)衣服、被介助者および着衣状態の認識 衣服の画像による分類や特徴認識について、これまでベイズノンパラメトリック法を用いてきたが、今年度は、近年圧倒的な性能が得られることが知られている深層学習の応用を行った。まず一般的なConvolutional Neural Network (CNN)を応用した結果、無造作に置かれた衣服の襟の発見をほぼ確実に行うことができるようになった。また、複数の衣服が無造作に重なっている場合に、それらの衣服を画像から弁別することも、Mask R-CNNを応用して、一定の成果を得た。また、複数カメラから衣服や被介助者の3Dポイントクラウド情報をリアルタイムで収集・統合するシステムを開発した。
(3)双腕ロボットへの着衣介助スキル転移 着衣介助スキルについて、衣服を腕に通す部分と、衣服を頭部や胴体を通す部分に分けて双腕ロボットシステムへ実装を行った。システムは2017年に東京ビッグサイトで開催された国際ロボット展に出展し、4日間連続で、全く問題なくデモを完遂した。参加者の中には実体験を希望するものも多かった。また、今年度は強化学習の実装を、シミュレーションおよび実機で進めた。全部で14自由度ある腕の運動も、ベイズノンパラメトリック法を適用したところ、2次元で十分実用に耐えうることが分かったため、少ない試行錯誤回数で着衣介助を成功させる軌道に到達することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトの着衣介助スキルの力学的理解について、着衣介助のプロは、手指からは衣服に対して大きな力を発揮していない可能性について、実績の概要で述べたように現在詳しく調査しているところであるが、それ以外の部分についてはおおむね計画にそって順調に進捗をしている。双腕ロボットシステムの開発や展示会における成功は、期待以上の面もあった。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトの着衣介助スキルの力学的理解について、着衣介助のプロは、手指からは衣服に対して大きな力を発揮していない可能性について、早急に調査を進める。また、被験者の人数や多様性も十分ではなかったため、追加実験も進める。衣服の画像による分類や特徴認識について、さらに深層学習の活用を強化する。双腕ロボットシステムへの実装も順次行う。
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