研究課題/領域番号 |
16H01752
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
今西 規 東海大学, 医学部, 教授 (80270461)
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研究分担者 |
木村 亮介 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00453712)
瀧 靖之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (10375115)
安藤 寿康 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30193105)
中川 草 東海大学, 医学部, 助教 (70510014)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ゲノム多型 / 顔形状 / モンタージュ / 人類学 / 情報システム |
研究実績の概要 |
一卵性双生児は非常に類似した顔をしていることから、ヒトの顔形状はほとんど遺伝的に決定されていると考えられる。そこで本研究では、双生児を中心とする約250組の日本人ボランティアからゲノム情報と顔形状データを取得し、計算機による大規模な関連解析を実施することにより、顔形状の個人差を規定する遺伝要因を解明する。これと並行して、東北メディカル・メガバンクが収集した約1000人分の頭部MRIデータとゲノム情報を解析し、顔形状に関わるゲノム多型の特定を試みる。以上の結果を利用して、個人のゲノム情報から顔形状を予測するためのソフトウエア「ゲノム・モンタージュ」を開発し、生命情報学における新分野の開拓をめざす。 平成28年度はまず各大学で倫理委員会への申請手続きを行い、承認後に本研究を開始した。【課題1】顔形状の遺伝性推定と関連ゲノム多型の探索については、慶應大学、琉球大学、東海大学が参加して、双生児ボランティアに対する測定会を2回にわたり開催した。その結果、一卵性双生児21組、二卵性双生児10組を含む合計68名の顔形状データおよび口腔内細胞試料を取得できた。得られた顔形状データについては琉球大学でのデータ解析を開始し、口腔内細胞試料については東海大学でDNA抽出およびSNP解析を開始した。【課題2】MRIデータを用いた頭顔部形状解析と全ゲノム関連解析については、東北大学、琉球大学、東海大学が参加して解析用ソフトウエア開発の準備に取りかかった。このほか、【課題3】「ゲノム・モンタージュ」の開発についても、テストデータを用いた解析ソフトの開発に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定からやや遅れ気味である。主な理由は、倫理委員会への申請と審査に予想以上の時間を要したためである。また、双生児測定会の実施・運営には予想以上の労力を必要とすることがわかり、初年度は68名のデータ取得にとどまった。今後はより多くの双生児ボランティアの測定ができるように、効率化を図る。
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今後の研究の推進方策 |
【課題1】顔形状の遺伝性推定と関連ゲノム多型の探索については、前年度に引き続き双生児測定会を開催し、最終的に双生児約150組(一卵性75組、二卵性30組、兄弟または姉妹45組)の被験者の測定を完了させる。当初は双生児のみを対象にする計画であったが、特に二卵性双生児を集めることが困難であったため、兄弟または姉妹を加えることにした。この集団に対して、顔形状のデータ解析を主に琉球大学で実施する。また、口腔内細胞組織からのDNA抽出とSNP解析は主に東海大学で実施する。SNP解析にはイルミナ社のSNPアレイを用いる予定である。 【課題2】MRIデータを用いた頭顔部形状解析と全ゲノム関連解析については、MRIデータからの解剖学的特徴点の自動抽出ソフトなどの解析ソフトを開発し、テストデータを用いた試験を実施する。また、全ゲノムデータの解析についてもゲノムワイド関連解析のソフトウエアの試験を実施する。さらに、【課題3】「ゲノム・モンタージュ」の開発については、解析ソフトの開発を継続する。 今後もテレビ会議等を活用して4機関のスムーズな連携を維持しつつ、着実に研究を前進させていきたい。また、研究協力者の追加も必要に応じて検討したい。
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