研究課題/領域番号 |
16H01756
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
神門 典子 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 教授 (80270445)
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研究分担者 |
酒井 哲也 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80723519)
相澤 彰子 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (90222447)
吉岡 真治 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (40290879)
大島 裕明 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 准教授 (90452317)
山本 岳洋 京都大学, 情報学研究科, 助教 (70717636)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 探索的検索 / ユーザの状況 / 提示型検索 / ファセット検索 / 気づき / 博物館鑑賞体験 / デジタル空間探索と実空間探索 / ユーザビヘイビア |
研究実績の概要 |
(1)ユーザの状況の捕捉: ユーザ実験によって収集したインタラクションデータを用い、検索過程における個々のユーザの状況の捕捉を研究した。検索タスクの(a) 認知的複雑さ(Complexity)、背景知識、探索の目的、タスクの自覚する困難さや満足度との関係、(b)ユーザが探索過程で精査する文書の特性・順位・信憑性・ユーザの信念との類似性、(c)時間・地理的空間等に着目し、インタラクション特性との関係を解析した。対象は、法律・政治情報・学術文書における「調査」、WebやSNSなどの幅広い情報、音楽・博物館など楽しみや自主的な学びの場での探索を取り上げた。香港大学の協力により音楽検索などの「楽しみのための探索的検索Search for fun」の検索過程におけるユーザの視線とユーザの満足度との関係を明らかにした。新たなインタラクション環境として、美術館博物館を例として、デジタル空間と実空間という2つの空間における探索閲覧行動とを捕捉し、それらを用いてより深い探索エクスペリエンスを支援すること提案した。
(2)ユーザの状況に応じて、ユーザを支援する技術:異なる認知的複雑さタスクを選定し、検索過程でユーザを支援する技術のプロトタイプを提案した。(a)対話的に探索を支援する、(b)文書に関連する多様な情報(レーティング、タグ、概要、引用等)を用いた頑強な深層学習に基づく情報推薦、(c)ユーザの気づきや関心を引き出す「提示型検索Ostensive search」などのメカニズムを提案した。
(3) 検索の基礎技術: 今年度は、自然言語対話、含意、言い換え、固有名抽出等、および、深層学習を用いた推薦などを検討した。また、検索実験計画法と評価法について研究をすすめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いくつかの対象領域に焦点を当て、ユーザの探索行動の捕捉とモデル化、探索過程での視線と満足度の関係、探索過程における状況に応じた検索支援について、研究を進めることができた。香港大学の協力により音楽検索、より豊かな探索インタラクションデータを捕捉できる環境として、従来のデジタル空間での探索行動に加え、センサー等によりユーザの物理空間での探索・閲覧行動も捕捉して、両者を連携して、よりよい探索インタラクション経験を提供するメカニズムについて、提示型検索を基本としたユーザインタフェースを提案し、さらに展開を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ユーザの状況の捕捉: 既有のインタラクションデータに加え、新たにユーザ検索実験によりインタラクションデータを収集し、より多面的に解析を行なう。
(2)ユーザの状況に応じて、ユーザを支援する技術:ユーザの物理空間とデジタル空間の双方における探索過程に基づいて、より深い探索体験を支援するメカニズムを提案する。それらを展開し、事前学習、探索体験と記憶との関連についても支援方式を提案し、その効果を検討する。
(3) 検索の基礎技術: 必要に応じて研究をすすめ、(2)のユニットに適用する。
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