研究課題/領域番号 |
16H01762
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣瀬 通孝 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (40156716)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / 拡張現実感 / 複合現実感 / Redirected Walking / デジタルミュージアム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,実世界との対応が重要なARコンテンツと,実世界の制約を超えた体験が可能なVRコンテンツとの間のシームレスな往来が可能な体験型展示手法を実現することである.実世界の身体の移動とバーチャル世界における仮想身体の移動の対応関係を変化させ,VRコンテンツ鑑賞中には実世界の制約を超えた移動・鑑賞を可能にしつつ,ARコンテンツへの鑑賞に切り替える際に空間的整合性が実現されるよう,実身体と仮想身体のずれを解消可能な複合現実型リダイレクション技術を確立する.具体的には,(1)実身体-仮想身体のずれを知覚させない仮想身体制御手法と(2)実身体-仮想身体のずれを解消する実身体誘導手法を開発した上で,(3)大規模実証実験で提案手法の受容性・有用性を検証する. 平成29年度は,(1-b)実身体と仮想身体のずれを知覚させない仮想身体制御手法として,角を曲がる際の回転量の操作に加えて,並進移動中にVR世界でのカメラを知覚されない程度に回転させることで,実世界での移動経路を所望の通りに補正する手法を構築した.また,(2-b)視覚エフェクトによって実身体と仮想身体のずれを解消する実身体誘導手法の構築として,VRコンテンツ世界で自由な鑑賞行動をしながら歩き回るユーザに対して,実身体の移動を誘導することで(1)の手法で生まれる実身体と仮想身体のずれをARコンテンツの鑑賞が可能な地点までにできる限り解消する手法を検討した.また(3)では,グランフロント大阪や大阪市立科学館での長期展示を通じて,提案手法を利用する上で,ARコンテンツとVRコンテンツを体験する際にユーザが異なるメンタルモデルを抱くためにAR-VR間での体験の遷移が起こりにくいという問題を見いだし,この解決にはユーザインタフェースの統一およびコンテンツで扱われる時空間の移動を直観的に理解可能な範囲に留める設計論が役立つことを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的なアルゴリズムの開発から展示での応用まで,おおよそ計画通りの進展を見せているため.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き基本的な手法の構築と統合を進め,効果的な複合現実型リダイレクション技術を実現するとともに,グランフロント大阪や大阪市立科学館でおこなっている長期展示を継続し,展示コンテンツに多様な方式の複合現実型リダイレクションを導入してその効果を比較検証していく.
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