研究課題/領域番号 |
16H01768
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
高田 秀重 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70187970)
|
研究分担者 |
綿貫 豊 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (40192819)
水川 薫子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50636868)
内田 圭一 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (50313391)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 海洋プラスチック汚染 / 尾腺ワックス / 添加剤 / 臭素系難燃剤 |
研究実績の概要 |
本年度は、海鳥の尾腺ワックスの採集・収集、海鳥尾腺ワックス中の分析対象添加剤の拡大と分析、海鳥への摂食実験の準備を行った。 オーストラリアタスマニアに赴き、現地研究者(Dr. Hardesty)が西オーストラリアで採取した尾腺ワックス試料を譲渡してもらい、冷凍状態で日本に持ち帰った。Dr.Hardestyのアレンジにより、ガラパゴス諸島およびアゾレス諸島(ポルトガル領)で採取された尾腺ワックス試料が研究室に国際冷凍便で届いた。また、ニュージーランドで採取された尾腺ワックス試料もDr.Hardestyの指導学生が来日した際に本研究室に持ち込まれた。本年度入手した試料は合計200試料程度で、全て冷凍保存中である。 比較的極性の高い添加剤を分析対象成分に加えるため、高極性成分の分析に適したガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS)および極性添加剤標準物質を購入し、分析法の検討を行った。対象添加剤は、有機リン系添加剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、スチレンオリゴマーである。これらの成分と臭素系難燃剤(ポリ臭素化ジフェニルエーテル:PBDE、デカブロモジフェニルエタン:DBDPE、ヘキサブロモシクロドデカン:HBCD)を同じ試料から分画するクロマトグラフィーの条件を確立し、GC-MSでの測定条件を決定した。 7海域22種97個体から採取した尾腺ワックスを分析した結果、オアフ島のWedge-tailed shearwater, マリオン島のWandering Albatrossから高頻度にBDE209, DBDPEが検出され、これらの種がハイリスク種であることが示唆された。 次年度実施予定の飼育実験を行うために、飼育に供する鳥の生態調査を行った。飼育場所の整備を行った。また、東京海洋大学の船着き場にプラスチックシートを係留し、汚染物質を吸着させたプラスチックの作成を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
尾腺ワックス試料の入手は順調に進んでおり、南半球、大西洋、太平洋と地球規模でサンプルが集まりつつある。分析対象添加剤の種類の拡大は新規GC-MSの導入により進んでいる。試料の分析も進み、ハイリスク種が示唆されてきた。飼育実験の準備も進み次年度実施の見通しである。
|
今後の研究の推進方策 |
・引き続き尾腺ワックス試料を世界的に収集することとその分析を行う。特に、これまでの分析からハワイ諸島のWedge-tailed shearwaterがハイリスク種の1つであることが示唆されたので、ハワイ諸島での尾腺ワックスの採取についてはハワイ大学のDr. David Hyrenbachとの連絡を密にとり、試料採取を促進する。 ・29年度は飼育実験を行い、プラスチック摂食による添加剤の海鳥への移行・蓄積を調べる。
|