研究実績の概要 |
世界15地域(グリーンランドのシオラパルク, ベーリング海のセントローレンス島とプリビロフ島, 大西洋のアゾレス諸島, 太平洋のハワイ諸島とガラパゴス諸島,西オーストラリア,東オーストラリアのフレーザー島, タスマニアのビッグドッグ島,ニュージーランドのオークランド,インド洋亜南極のマリオン島,大西洋亜南極のゴフ島等)で採取された39種164個体の尾腺ワックスを分析した。尾腺ワックスはガラスフィルターで尾腺を拭き取って採取された。尾腺ワックスを有機溶媒で抽出した。抽出液をゲル浸透クロマトグラフィーにて精製した後,10%水不活性化シリカゲルクロマトグラフィー、活性化シリカゲルクロマトグラフィーにて精製・分画した。PCBs, 有機塩素系農薬,臭素系難燃剤(PBDEs, DBDPE, TBB, BTBPE, HBCD)をGC-ECDにて,ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BTs), フタル酸エステル類をGC-MSにて,ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(BPs), 臭素系難燃剤(TBBPA)をGC-ITMSにて同定・定量した。 BDE209, DBDPEは19種33個体から検出された。 フタル酸エステル類は7種14個体で検出された。併せると、23種51個体でBDE209, DBDPE, フタル酸エステル類のいずれかが有意に検出され,分析個体の34%で摂食プラスチックから体組織への化学物質の蓄積が起きていたことが示唆された。紫外線吸収剤の測定結果から,BP12とUV234はプラスチック由来で海鳥に蓄積した可能性が示唆された。この両者も加えると、分析個体の50%で摂食プラスチックから体組織への化学物質の蓄積が起きていたと推定される。 摂食プラスチックから鳥組織への添加剤の移行を実証するための飼育実験を新潟県粟島で行った。得られた試料は2018年度に分析予定である。
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